一番美味しい小松菜の品種は?

こんにちは。

小松菜は古くから収穫量の向上や耐病性、耐寒性、耐暑性の付与などを目的として、たくさんの品種が開発されていますが、一番『美味しい』のはどの品種か、皆さんご存知ですか?

人によって好みや味覚が異なる以上、『一番美味しい』という順位付け自体、意味のない愚問であることは疑いのない事実ですが、それでも、品種によって味や歯ざわりにそれぞれの特徴がありますし、栽培性(生産性)の向上を目的に品種改良され続けてきた現在の小松菜が、本当に『美味しい』のかは、疑問がもたれるところです。

また、高齢の方が「昔は、それぞれの野菜が本来のしっかりした味や香り、クセ、主張をもっていたものだが、最近の野菜は味も香りも薄く、本当の野菜の味がしない」とお話されているのを聞いたことがあるかたは多いのではないでしょうか?

考えてみると、最近の野菜はクセがなく、よく言えば『食べやすい』のですが、独特のうまみや香りも薄いような気がします。

そんな中、東京都では昔の伝統野菜を復活させようというイベントや取り組みが行われ、東京農総研・江戸川分場ではコマツナの食味、食感に関する科学的検証も行われています。

東京農総研の森らが平成19年に発表した研究成果(資料1資料2)によると、1965年から市販されている昔ながらのコマツナ固定種「ごせき晩生」が大変おいしいとされている理由は、その苦味の少なさとやわらかさ、歯切れの良さにあるといいます。

そしてそれが、科学的な試験(破断応力=やわらかさ、破断応力を経時値で除した値=歯切れの良さ、アミノ酸組成の分析値=うまみや苦味)からも裏付けられ、『ごせき晩生』が美味しいとされる理由が明らかにされています。

一方、最近開発された品種は、栽培が容易である反面、硬さやすじっぽさ、苦味の強さという面で『ごせき晩生』に食味が劣っており、交配種「夏清水、シーエムキング、はるみ、なっちゃん」はコマツナ本来の食感とは異なることが裏付けられたと結論付けています。

現在、農家で栽培出荷され一般に流通している野菜はもちろんのこと、家庭で行うプランター菜園でも、一代交配種(F1種)が栽培の容易さから最も一般的で、実質的にほぼ全てのシェアを独占している状態ですが、『本当に美味しいこだわりの野菜を自分で作りたい』というのであれば、まずはF1種で栽培技術を磨き、自信が出たところで昔からある『ごせき晩生』のような伝統品種に挑戦してみるのも良いかもしれません。