間引きのコツ

このページではプランター栽培における「間引きのコツ」について解説しています。

そもそもどうして間引きが必要なの?

間引き(まびき)とは、込み合った株の一部を取り除くことによって株間を広げ、風通しを確保して病気の発生を防ぐとともに、日照や栄養を優良株に集中させるための作業で、美味しい野菜を作るうえで必須の作業です。

ニンジン等、一部の野菜においては発芽直後の苗段階において株間が込み合っていたほうが互いに競争し健全に育つことが良く知られていますが、最終的には一定の株間に広げなければ生育するためのスペースが物理的に不足し、良品を得ることが出来ないことは容易に想像できると思います。このような場合、厚めに種を蒔いて苗の生育を早め、あるタイミングで間引きを実施することで可食部を効率よく太らせることが出来ます。

一方、小松菜など多くの野菜は発芽後、特に密集を必要としませんが、多めに種を蒔いて後から間引くことが一般に良く行われます。これは、種が必ずしも発芽するとは限らず、ある程度余裕を持って多めに蒔いておかなければその部分が欠株となり、収量が低下してしまうためです。また、仮にすべて発芽したとしても、幼苗の段階で虫害を受けたり、生育不全になることがあり、多めに発芽させて状態の良いものを残して他を間引くほうが結果的に、多収、高品質となるためです。

間引きという作業が美味しい野菜を収穫するためにとても大切であることが理解できたら、次は間引きの具体的なテクニックについてみていきましょう

ピンセットを使った間引きテクニック(発芽直後)

厚めに種を蒔いて、芽が出揃い、葉が重なり合ってきたら間引きのタイミングです。

とはいっても、本当に発芽したばかりだとどれが優良苗なのか判断がつきませんし、遅すぎるとすでに生育が悪くなり始めていて手遅れです。間引きは適期を逃さず行うのがポイントです

具体的には以下の写真のような状態が間引きのベストタイミング 葉が隣の株と重なり合い、完全に双葉が展開している段階です。

山東菜

写真は葉菜を条蒔きして栽培している様子ですが、通常、株間が数ミリというレベルなので、無理に指で間引こうとすると、周囲の株を傷つけてしまう恐れがあります。

そこで、以下の写真のようにピンセットを使い、周囲の株に触れないように慎重に根元をつかんで引き抜いて間引いてあげましょう

山東菜

ピンセットは薬局や100円ショップなどで入手できますが先端の内側に滑り止めの「ぎざぎざ」がついているタイプだとつかんだ苗が滑らず作業しやすいです。

1回目の間引きの前後はこんな感じになります。手前は間引き済み、奥は間引き前。奥の列は葉が重なり合っているのに対し、手前の列は株元まで光がしっかり届いていることが分かります。間引きを行ったら土寄せ(=株元に土を寄せる作業)も行っておくと良いです。

山東菜

はさみを使った間引きテクニック

根張りの良い野菜や、スイスチャードなどのように1つのタネ(種球)から複数の芽が出るような野菜の場合、無理にピンセットで引き抜こうとすると土が持ち上がり、周囲の苗を傷つけてしまう場合があります。

その場合は、無理にピンセットや手で引き抜こうとせずに、先端がシャープな「はさみ」で株元からカットしましょう。

この方法で間引いた場合、根はそのまま残ることになりますが、間引きの目的である「葉の重なり」自体は解消されるので特に問題ありません。

ブライトライト(スイスチャード)の間引き直後の様子(写真中央よりちょっと左の赤いのが切り去った跡)

スイスチャード

間引く株の選び方

間引く株の選び方=残す株の選び方はとても簡単で、「元気な株を残す」というのが大原則になります。

たとえば、ダイコンを点蒔きで、各点4株発芽させた場合、段階的に各点を4株、3株、2株と間引いて最終的に1株を残すことになりますが、最初の間引きで以下のような状態の場合、明らかに生育の悪い右から二番目の株を間引くのが正解であることは誰でもわかると思います。

YRくらま

スイスチャードの場合はやや特殊で、(品種にもよりますが)カラフルな色合いが魅力であるため、生育の状態に加えて色のバランスも考えて間引く株を選ぶのがキレイに育てるコツです

ブライトライト

また、F1種の多くの葉菜など、条蒔きでほとんど生育状態に差が出ない野菜については、純粋に「生えた位置」を基準に必要な株間を確保し、各株が一定間隔となるように間引きを行いましょう(上:間引き前、下:間引き後)。

山東菜

まとめて間引きは厳禁

「どうせ後で最終株間になるように間引くのだから最初から最終株間となるように間引いたほうが楽じゃない」と考える方もいるかと思います。

実際、海外で機械的に大量栽培する場合、広大な土地に最終株間となるように1粒ずつ農機で種を蒔くことで、間引きに伴うコストを抑制し、安価に大量出荷する方法が広く採用されています。

しかしプランターの場合はそもそも栽培面積が狭いため、同じようにやってしまったら収量が著しく低くなってほとんど良品が取れなくなってしまう可能性があり、また、栽培スペースが狭く、株数も少ないので現実的にそれだけの手間を掛けることが出来るという面もあります。

特に、最初元気だった株が後になって不良となる場合も実際には多々ありますので、様子を見ながら少しずつ苗を選抜するのが再現性良くプランター栽培を成功に導くコツです

基本的には初回間引き後、また葉が重なり合ってきたらまた間引いて株間を倍に、また重なり合ってきたらまた倍に・・・と同じ作業を収穫まで繰り返します。初回以降の間引きの際は株間にそれなりに広いスペースがありますので、ピンセットを使わず直接手で引き抜くか、(根が強く張っていて抜けづらい場合は)はさみで切り取る方法がお勧めです