自家採種入門

総合評価 ★★☆☆☆
自家採種の基礎から応用までを網羅する一冊!

書名:自家採種入門 生命力の強いタネを育てる
シリーズ:コツのコツシリーズ
著者:中川原 敏雄、石綿 薫
出版:農山漁村文化協会
出版年:2009年3月
ページ数:183 (モノクロ印刷)
大きさ:21cm
ISBN:978-4-540-08141-5

レビュー

採種に関する基礎から専門的な内容までを網羅する一冊。

著者は自然農法国際研究開発センターに所属しているため、本書の内容も肥料を極力使わず農薬も使わない有機農法を前提としており、ここが好みの分かれるところかもしれません。

市販の種の多くは多肥、農薬散布で最良の結果が得られるよう育種されているため、この種を無肥料、無農薬栽培に適用しようとしても、病気や収穫量などに関してなかなか難しい問題があります。

そこで筆者らは、有機農法に耐えうる強い生命力を持ったタネづくりの方法を研究し、そのノウハウがこの本に凝縮されています。

内容は採種の各論だけにとどまらず、最初の74ページを使って植物の生殖の仕組み、交配の基本、母本の選定法などを丁寧に解説し、後半は各野菜ごとに採種上の注意点が記載されています。

残念なのは(2人の共著のためだとは思いますが)同じ写真が何度か使いまわされていたり、そもそも写真解説がモノクロのため非常に分かりづらいことです。写真自体は多く解説も詳しいので、もしフルカラーで写真ももうすこし大きく分かりやすければより理解しやすかったように感じます。

また、コツのコツシリーズで出版されている以上、初心者向けの本と思われますが、実際にはかなり農学的に専門性の高い内容も含まれており、単に『タネの取り方が知りたい』という方にとっては(モノクロで写真解説が分かりづらいことも併せて)あまりお勧めできません。

しかし、本当に有機農法に向く優れたタネをとるための育種を何年にも渡って行いたいというのであれば、これほど良い本は他にないでしょう。

いずれにせよ、かなり読者を選ぶ本であり、万人向けではないことから総合評価は低めとさせていただきましたが、良書だと感じました。


自家採種入門