Yu-Rin流!チマサンチュの育て方
科名
キク科
栽培難易度
★★☆☆☆(特別な管理は必要なく虫害も比較的少ない)
播種適期
チマサンチュ(韓国カキチシャ)は耐暑性、耐寒性が強いため周年栽培が可能です。春作なら3月下旬頃に播種を行って初夏まで収穫、秋作なら8月下旬に播種を行い12月上旬頃まで収穫する作型がオススメです。
特に栽培後半は防虫ネットで完全に全体を覆うことが(サイズ的に)困難になるため、秋作のほうが虫食いの少ないきれいなサンチュが収穫しやすい傾向にあります。
お勧めの品種
一般的な焼肉屋さんで提供されるようなチマサンチュ(サンチュ)が作りたい場合はタキイ種苗の「チマサンチュ(青葉種)」がお勧めです。
チマサンチュはほとんど品種改良が行われておらず、受粉特性の関係でF1種を作ることも原理的に難しいため、現在でも伝統的な固定種が広く栽培されています。タキイ種苗の「チマサンチュ(赤葉種)」と交互になるようにして1つのプランターに植えつけると彩りが華やかになりガーデニングの一環としても楽しめます。
(主な特徴)
・摘み取り収穫で2ヶ月以上の長期大量収穫が可能
・葉は緑色で、適度なちぢれがあり、焼肉を包んで食べやすい
・耐暑性、耐寒性が強く、生育旺盛
プランター選びと播種法
チマサンチュは葉菜としては栽培期間が長い野菜ですが、標準プランター以上のプランターであれば問題なく育ちます。
プランターへの直播き、ポット育苗後の定植、どちらも可能ですが、特に秋作の場合は播種期の気温が十分に高く発芽率も高いため直播きがオススメです。
直播きの場合、播種は点まき、一箇所当たり種子8粒、株間15cmがお勧めです。
*幅が65cmのレリーフプランター650を使用する場合、プランターのサイドから10cmのところに1点。そこから15cmおきに合計4点
ポット育苗の場合も定植時、株間を15cm確保します(定植適期は本葉3~5枚の頃)。
サンチュの種はこんな形状。もみがらのような細長い形をしています。発芽に光が必要な好光性種子であるため(←ここが重要)、ごく浅く土をかぶせるようにして水を与えておけば数日で発芽します。
発芽直後の姿。この段階で1箇所当たり4株以上発芽していれば理想的です。
発芽後の管理
チマサンチュで必要とされる発芽後の管理は、水遣りと間引き、追肥です。
水遣りのポイント
土表面が乾いたら、プランターの排水口から水が勢いよく流れ出るまでたっぷりと与えます。
頻繁に水を与えすぎると根腐れによる生育不良の原因になります(特に冬季は注意)。
> 栽培テクニック~上手に野菜を育てるコツ > 水やりのコツ
間引きのポイント
間引きは葉の重なり具合を見ながら数回に分けて行い、状態の良いものを残して、虫害を受けたもの、成育の悪いものを選んで間引くようにします。
発芽して完全に双葉が展開したら、育ちの悪いものを間引き、各点4株を残すように間引きを行います(下の写真は1回目の間引き適期のサンチュの双葉)。
間引き後はこのようになります。
> 栽培テクニック~上手に野菜を育てるコツ > 間引きのコツ
追肥のポイント
生育を促進するため葉色や生育の状況を見ながら、2~3週間おきに定期的に追肥します。
葉の色合いを見て明らかに栄養不足と考えられる場合(葉色が薄い、黄色っぽい)は、随時、液肥で対応します。
*水のあげすぎや日照不足による生育不良を肥料不足と見誤って追肥してしまうと逆効果!←特に注意したいところです。
生育の様子
1回目の間引きを終えた直後の様子。奥に見える白いものは防虫ネット、サンチュは小松菜などに比べれば虫害は軽微ですが、病気の伝播などの原因にもなるため、播種直後から常に防虫ネットはかけておきましょう(水やりも防虫ネット越しに行います)。
さらに4日後、本葉が出てきます。この本葉がサンチュの可食部になります。
さらにその5日後。それぞれの葉が重なり合ってしまいギュウギュウに
上の写真のようなサイズ(本葉3枚程度)になったら、2回目の間引きを行って、各点、成長の良い2株を残して栄養と日照を集中させましょう。
プランター全体としてはこんな感じ(各点2株、4点/レリーフプランター)。
さらに一週間後・・・最終間引きを行って各点1株とした状態。
プランター全体としてはこんな感じ。これ以上の間引きは行わず、このまま収穫まで4株を栽培継続します。
さらに一週間後・・・ほぼ隙間無くぎっしりと葉が成長します。この頃から成育が旺盛になるため肥料をやや多めに追加してあげるとよいです。
さらに一週間後、収穫適期のサンチュですこのサイズになるとどうしても防虫ネットで完全に覆うことが困難になるので無農薬栽培では多少の虫食いは避けられなくなります。春作だと虫の多い時期にこのタイミングが訪れますが、秋作だとすでに虫が少ない時期に入っているため比較的無被覆でもキレイなサンチュを収穫することができます。
もちろんこの段階で株ごと普通に収穫してしまっても良いのですが、下葉から摘み取るようにするのがYu-Rin流このように収穫すると数ヶ月間、毎週収穫することが出来、オススメです
収穫したチマサンチュがこちら
収穫後は下の写真のようになります。この後も上に向かって葉がどんどん増えるので、下葉を順次(はさみを使わずに)「折り取って」その日食べる分だけを収穫します(暖かい時期で週に1回、冬季は2週間に1回程度収穫出来ます)。草勢を維持するために収穫しすぎないのがポイント
一週間もするとまた元のサイズ以上に葉が回復します。
増えた分をまた収穫
あとはひたすらこれの繰り返しで、プランター1つで2ヶ月間くらいはサンチュが食べ放題になります
このようにして栽培を継続すると、(土に近い下葉から順に摘み取って収穫をしているため)だんだんトイプードルのように
地際がすっきりとして風通しがよくなり、降雨時の泥の跳ね返りもなくなるため病気などのリスクはほぼ無くなり、栽培管理自体もかなり容易になってきます。
下の写真は初収穫から2ヶ月経った状態。このくらい収穫できたら大成功です
採れたてのチマサンチュはスーパーで購入したものとは比べ物にならない歯ざわりと風味が魅力。肉を巻いても良いのですが、是非一度は生で何もつけずにそのまま味わってみてください
知っておきたい!栽培のポイント
~その1~虫害に注意!
チマサンチュはキク科なので、それほど虫害はひどくはありませんが、それでも同じキク科のリーフレタスと比べると虫害を受けやすい傾向にあり、また、サンチュは生で食す場合が多いこともあって可能な限り虫害を避けたいものです。
播種直後から防虫ネットに入りきらない大きさになるまで、防虫ネットを使用して害虫の侵入を防ぐことが無農薬でも虫食いの少ないきれいなチマサンチュを収穫するポイント特に秋作は収穫期に虫が少ないため栽培が容易です。
防虫ネットの使用有無を問わず、毎朝、葉裏をチェックして、害虫は見つけ次第捕殺しましょう。
⇒防虫ネットについてはこちらの記事を参照してください。
~その2~トウ立ちに注意!
チマサンチュは一日あたりの日照量が多くなるとトウ立ちする性質があります。
*トウ立ち・・・花が咲いて葉が硬くなり、食味が低下してしまうこと。
特にお庭やベランダで栽培する場合、近くに街灯があるとトウ立ちが避けられません。出来るだけ夜間、暗くなる場所を選んでプランターを設置するようにしましょう。
コラム
~チマサンチュが韓国カキチシャと呼ばれる理由~
基本的に、チマサンチュ、リーフレタスは非結球型のレタスに該当し、兄弟のような関係にあります。リーフレタスの項にも書いたとおり、チシャという名前は、レタス類の茎をカットすると白い液が出ることに由来しています。
「乳のように白い液が出る草」なので、「乳草(ちちくさ)」と呼ばれ、それが転じて「ちくさ」→「ちさ」→「ちしゃ」になったというわけです。
焼肉大国として有名な韓国でポピュラーな摘み取り型の(カキ)、レタス(チシャ)=韓国カキチシャというわけです