もやしには、大きく分けて、グリーンマッペ(緑豆もやし)、ブラックマッペ(黒豆もやし)、大豆もやしの3種類があります。最近では健康野菜としてアルファルファ(糸もやし、紫うまごやし)も注目を集めています。
一般にもやしといえば、グリーンマッペのことを指し、日本国内のシェア9割をグリーンマッペが占めています。一方、西日本地域では細長いブラックマッペも根強い人気があり、ラーメンや鉄板焼きなどに汎用されています。また、豆のついた大豆もやしは独特な味と風味があり、韓国料理(ナムル、ビビンバなど)にしばしば利用されています。
このページでは最も一般的な「グリーンマッペ(中原採種場)」を使用した、もやしの栽培方法をご紹介します。収穫まで1週間程度で、土を使うこともなく、簡単に室内で栽培することが出来るので、はじめての家庭菜園体験にもおススメです。
基本データ | |
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栽培難易度 | |
名称・別名 | もやし(糵、萌やし)、グリーンマッペ、緑豆もやし |
科名 | マメ科 |
英名 | Bean sprouts |
原産地 | インド |
播種適期 | 周年 |
種のまき方 | バラ蒔き |
発芽適温 | 20~25℃ |
生育適温 | 20~25℃ |
発芽日数 | 1日 |
最適容器 | 広口ガラス瓶、ジャムビン |
Step 1:必要資材の準備
もやしを栽培するために、まずは必要となる資材や道具を揃えましょう。
もやしは家庭菜園とはいっても、土を使うことも無く、基本的にはキッチンにあるものだけで、室内で栽培することが出来ます。
タネ
どのメーカーのものでも構いませんが、大豆栽培用のタネではなく、もやし栽培用(スプラウト用)の無消毒種子を購入してください。
広口ガラス瓶
上面と、底面がほぼ同じサイズの円柱状(ずん胴)のガラス瓶で、やや大きめのものだと作業しやすいです(フタは不要)。
アルミホイル
遮光に使用するだけなので、キッチンに常備されている一般的なもので構いません。
水切りネット
防虫ネット、排水口ネットなど、通水性があり、水を切ることが出来るものであれば何でも構いません。
もやし栽培に使用する種子は必ずスプラウト専用の無消毒種子を使用するようにしてください。
一般的な野菜栽培用種子は農薬で消毒されていることがあり、これをスプラウト栽培に使用してしまうと残留農薬が混入してしまう恐れがあり大変危険です。
スプラウト用種子はタネの袋に「スプラウト用」と必ず明記されているので、栽培前に確認するようにしましょう。
Step 2:ビンの消毒
もやしは、光が当たらない湿度の高い環境で育つこともあり、特に注意したいのが雑菌です。
もやし栽培に使用するガラスビンは、予め熱で消毒・殺菌しておきましょう。殺菌方法はいたって簡単で、良く洗浄した透明ガラス瓶に熱湯を注ぎ、10秒ほど待ってから、お湯を捨てるだけで十分です(厚みのあるガラス瓶を使用する場合は、急な温度変化によって割れてしまうことがあるので十分注意してください)。
Step 3:発芽処理
広口ガラスビンに適量の種と、水を入れ、ビンを回すようにしてタネを良く洗い、種をこぼさないように水を捨てて、種に付着したごみを取り除きます。
洗い終わったら水をビンの半分くらい入れ、ガラスビンの上部にネットを被せ、輪ゴムで縛っておきます(このネットは栽培終了まで一度も外しません)。
もやしは最終的に種の体積の10倍以上に成長するので、上の写真のように、種はビンの高さの10分の1程度の量を目安とし、あまり入れすぎないようにしましょう。
上の写真の状態のビンをアルミホイルでぐるぐる巻きにして全体を遮光し、そのまま1晩放置します。
1晩放置してからアルミをはがすと、種がひとまわり大きくなっていることが分かります。
ネットを外さずに、ビンを逆さまにして水を捨て、(ネットごしに)水を入れてすすぐ作業を4回ほど繰り返します(ネットは収穫まで一度も外しません)。
最後は水をよく切り、以下のような状態にします。最初の写真と見比べると、すでにこの段階で3倍近い体積になっていることが分かります。
Step 4:育成・収穫
もやしの種の浸水処理(催芽処理、発芽処理)を終え、種が大きく膨らんだら、再びアルミホイルで遮光しますが、長方形に切ったアルミホイルを瓶の周りにぐるぐると巻きつけ、下側は完全にビンの底に折り込み、上部はすぼめて煙突状にする方法がお勧めです。こうすることで一定の通気が確保され、蒸れて腐ってしまう可能性が減り、同時に、十分な遮光も得られることになります。
上の写真から12時間後には、芽が出始めます。
以降の栽培手順ですが、毎日、朝と夜(1日2回)、アルミを外して、水でモヤシをよく洗ってから水を切り、再びアルミホイルで遮光することを繰り返します。
真っ白いもやしにするため、洗うとき以外は常にアルミで遮光し続けるようにしましょう。
上の写真の24時間後にはこんなに大きくなります。市販のものと比べると少し小さめですが、栄養価はむしろこの時期のほうが高く、この段階でも十分美味しくいただけます
さらに24時間経つと、下の写真のように良く見慣れた収穫適期のもやしになります。
ビンにぎゅっと詰まっているので、一見すると少なく見えますが、ビンから取り出して、洗ってお皿に出してみると、こんなに大量です。
尚、種についていた緑色の袋は水に浮くので、普通に洗えば簡単に取り除くことが出来ます。
軽く茹でて、少し味付けするだけで、収穫したてならではの味を楽しむことが出来ます。気候や環境を問わず、いつでも手軽に栽培できるので是非挑戦してみてください。
栽培のポイント・注意点
雑菌に注意
新芽を可食部とするスプラウト類全般にいえますが、特に注意したいのは雑菌です。使用するビンは必ず事前に熱湯で消毒し、毎日、もやしをすすぐ際にも、最初につけたネットは外さず、直接もやしに手が触れないようにして洗うようにしましょう。
スプラウト専用種子を使用
もやしを含め、スプラウト類は必ずスプラウト専用の無消毒種子を購入してください。一般に売られている野菜栽培用の種子は農薬で種が消毒されている場合があり、これをスプラウト栽培に使用してしまうと残留農薬の観点から非常に危険です。タネの袋に「スプラウト用」と明記されていることを栽培前に確認するようにしましょう。
水道水を使う
収穫まで、何度も水で洗うことになりますが、浄水器の水、アルカリイオン水、ミネラルウォーター、井戸水などは、カビや雑菌が繁殖しやすいので、必ず、水道水を使用するようにしてください。
水は水道水でもいいのでしょうか?
遮光しなければどのような色のスプラウトになりますか?
作りやすい季節や室温等があれば教えてください。
加藤みみさんへ
おはようございます。ご訪問ありがとうございます。
水はもちろん、水道水で大丈夫です。むしろ、ミネラルウォーターよりも水道水のほうが雑菌が繁殖しづらいので、水道水のほうが向いています。
種は遮光しなければ緑化しますが、もやしとしての食味が悪くなります(土にタネを蒔いて日当たりの良い場所に置けば、立派な植物としての「マメ」が育つことになります)。
作りやすい季節・室温についてですが、あくまで室内栽培なので、気密性の高い住宅であれば、年中いつでも栽培することが出来ます。ただ、日中は外出し、空調を止めているような環境であれば、真夏や真冬は避けたほうが良いと思います(真夏:腐りやすい、真冬:成長が遅い)。今の時期のように、暑くもなく、寒くもない、人間にとって快適な時期が一番作りやすいです。