野菜の種のまき方:家庭菜園に役立つ4つの播種法

種まきの方法

家庭菜園の最初のステップである「種まき」には様々な方法が存在します。このページではプランター菜園(家庭菜園)で役立つ4つの種まきの方法についてご紹介します。

尚、「種まき」のことを専門用語で「播種(はしゅ)」、「種まきの方法」のことを「播種法(はしゅほう)」といいます。詳細は後述しますが、成書では単に「播種法:条まき」などと書かれる場合が多いので、このような用語も是非覚えておきましょう。

条まき(すじまき)

条まきは家庭菜園において最も一般的な播種法で、プランターの長辺と平行に、一定間隔で直線的に種をまく方法です。プランター菜園では「2条まき」「3条まき」などと表現することがありますが、これは1つのプランターに2列に蒔くのか、3列に蒔くかの違いを表しています。

条まきの方法

レリーフプランター650への2条まき。周囲の黒い線がプランター、青丸がタネを表しています。

条まきの方法

親指と人差し指で種子を適量つまみ上げ、親指と人差し指を擦り合わせるようにして一定間隔で種を落とし、同時にその指を上の図の青い点のラインに沿って動かします。

一定間隔で、かつ、まっすぐな直線となるように素早く蒔けるようになるまでには練習と慣れが必要ですが、慣れてしまえば1条あたり5秒程度できれいに蒔くことが出来るようになります。

最初のうちは落とした種を目視で確認しながら、ゆっくり蒔くようにすると良いでしょう。野菜によってタネ同士の適切な間隔は異なりますが、一般的な葉菜の場合、5 ㎜程度が目安となります。

蒔き終わったら、種が見えなくなるまで培養土を種の上にかけ、水やりを行います。

条まきのメリット・デメリット

  • 株間が狭くても、条間(列と列の間)には一定の空間が確保されるため風通しが良く、条間からの日照も得られるため、ある程度密集させても生育に与える影響が少ない
  • 生育初期に株間が狭くなることで一部の野菜では互いに競い合い結果として生育が促されることがある。
  • 葉菜の場合、生育の過程で間引き菜を収穫することが出来る
  • 生育状況に合わせて間引くことで、自由に後から株間を調節することが出来る
  • 間引く手間が多く発生し、無駄になるタネも多い。
  • 3条まきにすると、サイドの2列と、中央の1列との間で、生育の差が出やすい。

点まき(てんまき)

株を育てる場所を予め決め、点状に密集させてタネをまく方法です。下の図は「4点まき、各点4粒」ですが、これは1つのプランターに4つの播種ポイントがあり、それぞれのポイントに4粒ずつタネを蒔くことを意味します。

点まきの方法

レリーフプランター650への4点まき。周囲の黒い線がプランター、緑色が播種ポイント、青丸がタネを表す。育てる野菜のサイズに応じ、播種ポイントの数は適宜調整する。

点まきの方法

野菜の最終的なサイズに合わせて播種ポイントを決め、各点4粒を目安として、1粒ずつ種を蒔きます。この時、4粒の種は上の図のようにそれぞれ2~3 ㎝離しておくと初期成長がスムースになります。

蒔き終わったら、種が見えなくなるまで培養土を種の上にかけ、水やりを行います。

点まきのメリット・デメリット

  • 練習や慣れが不要で、初めてでも確実に種を蒔くことが出来る。
  • 必要な場所にだけタネを蒔くため、無駄になるタネが少ない
  • 間引く必要のある株が少なく、間引き作業が簡便
  • 株間を事前に決定しなければならない。

バラ蒔き(ばらまき)

プランター全体にまんべんなくタネをまく方法です。

バラ蒔きの方法

レリーフプランター650へのバラ播き。周囲の黒い線がプランター、青丸がタネを表す。

バラまきの方法

種袋の角をハサミでカットし、ふりかけをご飯にかける要領で、プランター全体に均一に種を蒔く。

蒔き終わったら、種が見えなくなるまで培養土を種の上にかけ、水やりを行います。

バラまきのメリット・デメリット

  • 手間をかけずに、大量のタネを短時間で蒔くことが出来る。
  • プランターのスペースを無駄なく活用し一度に多くの株を栽培することができる。
  • プランター全体に均一に蒔けるようになるためには、一定の練習が必要
  • 日照や風通しが悪いため、特に小さな野菜以外には適用しづらい。

千鳥まき(ちどりまき)

点まきに似ていますが、複数列で、それぞれの列が互い違いになっていることが特徴です。

千鳥播き

レリーフプランター650への千鳥播き。周囲の黒い線がプランター、緑色が播種ポイント、青丸がタネを表す。育てる野菜のサイズに応じ、播種ポイントの数は適宜調整する。

千鳥まきの方法

点まきと同様に、野菜の最終的なサイズに合わせて播種ポイントを決め、各点4粒を目安として、1粒ずつ種を蒔く。この時、播種ポイントは複数列とし、それぞれが互い違いになるようにするのがポイント。

蒔き終わったら、種が見えなくなるまで培養土を種の上にかけ、水やりを行います。

千鳥まきのメリット・デメリット

  • プランターの限られたスペースを無駄なく最大限活用出来る。
  • 練習や慣れが不要で、初めてでも確実に種を蒔くことが出来る。
  • 必要な場所にだけタネを蒔くため、無駄になるタネが少ない
  • 間引く必要のある株が少なく、間引き作業が簡便
  • プランターに対し、縦方向、横方向、両方の風通しを確保できる
  • 播種ポイントを事前に決定しなければならない。

最適な播種法の選び方

野菜によってどの播種法が最適であるかは異なりますが、目安として、以下のように覚えておきましょう。

  • バラまき
    ベビーリーフなど、特に小型の野菜
  • 条まき
    小松菜やほうれん草をはじめとする菜っ葉類や人参など、中程度の大きさの野菜全般
  • 千鳥まき
    チンゲンサイなど、サイズがやや大きめの野菜
  • 点まき
    大きなサイズの野菜中長期の管理を要する野菜果菜類全般

播種法と、野菜のサイズの関係は次のようになります。

(小さな野菜)ばらまき < 条まき < 千鳥まき < 点まき(大きな野菜)

点まきと千鳥まきの違いが分かりづらいのですが「点まき=1列」「千鳥まき=複数列の点まき」と考えれば理解しやすいのではないかと思います。

種まきの具体的な手順

野菜の育て方のページでは、以下のように、その野菜に適した種まきの方法を掲載しています。以下は一般的な種まき(点まき)の手順です。

手順1
鉢底石を入れる
良く洗ったプランターに鉢底石を底が見えなくなるくらいまで入れる
*新品のゴールデン粒状培養土を使用する場合、この手順は不要です。
手順2
培養土を入れる
プランターに培養土を入れ、出来るだけ平らにならす。
*プランターのふちギリギリまで入れずに、3 ㎝程度、余裕をもって入れましょう。
手順3
種をまく
点まき。レリーフプランター650なら4点、各点4粒。

インゲンの種のまき方

手順4
種に土をかぶせる
 培養土を種が完全に見えなくなるまで追加する(すでにプランターに入っている培養土を「寄せる」のではなく、新たに種の上に培養土を追加)。
手順5
水やりをする
プランターの排水口から水が流れ出るまでたっぷりと水を与える。
*ホースリールを使用する場合は水勢を弱くし、土や種が流れてしまわないよう注意。プランターは風通しの良い日なたに設置し、発芽するまでは毎朝1日1回の水やりを行いましょう。

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