イタリア料理に欠かせないバジルは、ハーブとしては珍しく日当たりの良い環境を好みます。暑さには強いものの寒さには弱い特性があるためゴールデンウィーク頃の種まきがお勧めです。
この記事では甘い香りが豊かで生育旺盛の「スイートバジル(タキイ種苗)」をプランターで種から栽培する方法をご紹介します。
(苗を購入して栽培する方は前半を適宜読み飛ばしてください)
基本データ | |
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栽培難易度 | |
名称・別名 | スイートバジル、目箒(メボウキ)、バジリコ |
科名 | シソ科 |
英名 | Basil |
原産地 | インド、熱帯アジア |
播種適期 | 4月~6月 |
種のまき方 | 点まき |
発芽適温 | 20~25℃ |
生育適温 | 20~25℃ |
発芽日数 | 5~10日 |
最適プランター | レリーフプランター650 |
Step 1:必要資材の準備
バジルをプランターで栽培するために、まずは必要となる資材や道具を揃えましょう。
はじめての家庭菜園でどれを買ったら良いか分からない場合は、この記事で使用している以下の資材一式を購入し、記載の手順通りに育てれば初心者でも失敗無く収穫することが出来ます。
タネ
トマトと相性の良い甘く高貴な香りが特徴で、生育も旺盛な、バジルの定番品種です。
プランター
バジルはそれほど多くの土量を必要とはしないので、レリーフプランターがおススメです。
培養土
緩効性肥料入りの粒状培養土で、保水性、通気性、保肥性のバランスに優れています。
肥料
窒素、リン、カリがそれぞれ8%含まれる、最も一般的な化成肥料です。信頼できるメーカーのものを選ぶようにしましょう。
ジョーロ
毎日の水やりに使用します。プランターの数が多くなってきたら、ホースリールの導入も検討してみてください。
Step 2:種まき
良く洗ったプランターに鉢底石を底が見えなくなるくらいまで入れる。
*新品のゴールデン粒状培養土を使用する場合、この手順は不要です。
プランターに培養土を入れ、表面を平らにならす。
*プランターのふちギリギリまで入れずに、3 ㎝程度、余裕をもって入れましょう。
*タネをまくための「蒔き溝、蒔き穴」を作る必要はありません。
点まき。レリーフプランター650なら3点、各点4粒。
培養土をタネが完全に見えなくなるまで追加する(すでにプランターに入っている培養土を「寄せる」のではなく、新たにタネの上に培養土を追加)。
*このようにするとタネをまいた部分だけが少し高くなって株元の排水性が向上し、根腐れを予防することができます。
プランターの排水口から水が流れ出るまでたっぷりと水を与える。
*ホースリールを使用する場合は水勢を弱くし、土やタネが流れてしまわないよう注意。プランターは風通しの良い日なたに設置し、発芽するまでは毎朝1日1回の水やりを行いましょう。
バジルは発芽に光のエネルギーを必要とします(好光性種子)。タネを土に深く埋めすぎないように注意しましょう。
Step 3:発芽・間引き
バジルは発芽適温(発芽に最適な地温)が20~25 ℃と高いこともあり、発芽に1週間以上掛かることもありますが、無事に発芽したら間引きを行いましょう。
下の写真のように双葉が完全に展開し本葉が出始めたら、各点3株を残して間引きます。
間引きの方法:株間が十分に広い場合は、苗を指でつまんでまっすぐ上に引き抜くのが最も手軽ですが、ピンセットを使うと、混み合っている箇所でも正確に間引くことが出来ます。また、密集して発芽してしまった箇所は(根が絡まり、残したい株まで一緒に抜けてしまう恐れがあるため)ハサミで根元から切り取ると安全・確実に間引くことが出来ます。
混み合い具合を見ながら、順次間引きを行い、下の写真くらいのサイズまでに各点で一番成長の良い1株を残し、他をすべて間引き、各点1株、レリーフプランター全体で計3株とします(プランターの奥に白く見えるのが防虫ネット、写真は最終間引き直後の様子)。
バジルは栽培期間が長期となるため、定期的な追肥が必要です。緩効性肥料なら1か月おき、一般的な化成肥料なら2週間おきを目安として追肥しましょう。追肥の際は株元を避け、プランターのふちに沿って蒔くようにすると根が肥料焼けして痛んでしまう心配がありません。
Step 4:摘心・仮支柱への誘引
最終間引きを終えてしばらくすると、ぐんぐん草丈が伸び、葉も増えてきます。下の写真くらいのサイズになったら、株の先端から5 ㎝程度下の主枝をハサミで切り落としましょう(摘心といいます)。
摘心によって新たな脇芽の発生が促され、株全体にボリュームが出て、収穫量を大幅に増やすことが出来ます。
上の写真では中央の株のみ、簡易的な支柱を立て、麻ひもで軽く誘引していますが、株がぐらつかずに安定しているようであれば、特に支柱は不要です。
Step 5:育成・収穫
摘心してしばらく育成すると、上方向に加え、横方向にも葉を伸ばすようになります。また、主枝が木化して株全体が安定するので、比較的管理は容易となります。
虫害に気を付けながら育成すると、最終的にかなりの大株に成長します(下の写真は収穫適期のバジル)。
バジルの収穫方法ですが、葉を1枚ずつ摘み取るのではなく、枝ごとハサミでカットするのがお勧めです。収穫直後は下の写真のようになりますが、枝ごとカットすることで脇芽の発生が促されるため、暖かい季節なら2週間ほどでまた元通りに再生します。
収穫したバジル。フレッシュで香り高いうちに調理しましょう。
最盛期はプランター1つあたり、1回の収穫で、100 g~350 g程度のバジルを収穫することが出来ます。
収穫日にすべてを使い切ることは難しく、また、すぐに傷んでしまうので、大量に収穫したらジェノバソースにして、香りを封じ込めてしまうのがお勧めです。
冷凍保存しておけばいつでも新鮮なフレッシュバジルを楽しむことが出来ます。
レシピはとても簡単で、バジル100 g、カシューナッツ100 g、パルメザンチーズ50 g、にんにく10 g、オリーブオイル100 ml、塩こしょう 1 gをフードプロセッサーで混ぜ、瓶に詰めるだけです。
カシューナッツ100 gを、松の実50 gに変更してもまた違った味わいが楽しめます。
栽培のポイント・注意点
虫害に注意
バジルは(シソほどではありませんが)比較的虫害を受けやすいため、特に害虫の多い環境で栽培する場合は、毎朝葉の状態をチェックし、早期発見、早期防除に努めましょう。
特に注意したい害虫はベニフキノメイガというくもの巣に似た糸を張るいもむしと、かわいらしい昆虫のオンブバッタの2種です。早期防除に失敗しこれらが大量発生してしまうと、食害スピードが極めて速いため、あっという間に手に負えなくなってしまうことがあります。
バジルの豆知識
バジルの名前の由来は?
王を意味するギリシャ語に由来します。
バジルという名前は、ギリシャ語で王を意味するバシレウスに由来するとされ、フランスのシェフの間ではその高貴な香りから、今でもハーブの王様はバジルと言われています。
また、日本ではメボウキと呼ばれることがありますが、これは江戸時代に目にゴミが入った際、水に浸したバジルの種で目を洗う習慣があったことに由来しています。