野菜のタネの保存のコツ

野菜のタネの保存方法

市販のタネを購入しても一度にすべて使い切れるようなことは殆ど無く、特に家庭菜園においては大量に余らせてしまうことが大半ではないかと思います。

このページでは余った野菜のタネを良好な状態のまま数年間保存する方法について解説します。

余ったタネ、どうすべき?

家庭菜園、特にプランター菜園では栽培スペースが限られているため、野菜のタネを1袋購入しても、そのごく一部しか使わないケースが大半です。

タネ袋の裏に記載されている「播種期限」は通常、今シーズン中に蒔くことを前提とした記載がなされているため、来シーズンもまた同じ野菜を育てたいと思っていても、一度タネを廃棄して、来年また購入しなおす方も多いのではないかと思います。

野菜のタネ自体が比較的安価なこともあり、もちろん毎年買い直すという選択肢もありますが、少しの手間をかけるだけで数年間、発芽率を落とすことなく、良好な状態でタネを保存することも出来ます。

野菜のタネが余った時の選択肢
  • 廃棄する
    メリット:種苗業者が設定した播種期限を守って毎年買い直すことで、タネの品質が原因となる問題を確実に回避できる。
    デメリット:余計なコストが掛かり、生きたタネを捨てること自体、もったいない。
  • 菜園仲間と分ける
    メリット:播種期限内にひとりで使い切ることは困難なため、最初から友達と共同購入することで無駄のない利用が可能となる。
    デメリット:仲の良い家庭菜園仲間の存在が必須。
  • 保存する
    メリット:無駄が無く、様々な野菜のタネを常備出来るため、思い立ったらすぐに種まきを行うことが出来る。
    デメリット:長期にわたり冷蔵庫内のスペースを一部占有。播種期限を超えた利用となるため発芽率は自己責任。

正しいタネの保存方法

余ったタネの発芽率を落とさず良好な状態で保存するためには、発芽率低下の原因となる4つの要素から隔離することが大切で、逆に、これらを遮断すれば長期間の保管が可能となります。

種子劣化の4要因
  • 光(紫外線)
  • 酸素
  • 水分(湿度)
  • 高温

家庭で手軽に理想的なタネの保管を実現するための具体的な方法は以下のとおりです。

手順1
ジップロックにタネ袋を入れる

タネ袋の口を予めセロテープやビニールテープでしっかりと塞ぎ、ジップロックにタネをタネ袋ごと入れる。

手順2
乾燥剤を入れる

ジップロック内の水分を吸収させるため乾燥剤をジップロックに入れる。

手順3
空気を抜いて密閉

手でジップロック内の空気を可能な限り押し出して密閉する。

手順4
冷蔵庫に保管

冷凍庫には保管しないようにしましょう。

手順5
定期的に乾燥剤を交換

乾燥剤は湿気を吸うと吸湿効果が落ちてしまうため、乾燥剤が膨らんできたら定期的に新しい乾燥剤に交換しましょう。

正しい種子の保存方法

野菜のタネの保存法。正しく保存すれば数年間保管してもほとんど発芽率は低下しない。この上にもう一枚ジップロックを逆さまにかぶせ二重にするとより良い。

ジップロックには室温用と、フリーザー用がありますが、フリーザー用のほうが密閉度が高くお勧めです。また、すぐにタネの袋が大量に溜まってしまうので、Lサイズの袋で1つにまとめて保存すると冷蔵庫内の場所を取らず手軽に保存することが出来ます。

乾燥剤には化学的乾燥剤と物理的乾燥剤の2種類があります。シリカゲル(物理的乾燥剤)を主成分とする乾燥剤のほうが入手しやすいですが、これではタネの長期保管に必要な十分な乾燥状態を得ることが出来ないため、以下のような生石灰を主成分とした化学的乾燥剤を選ぶのがポイントです。生石灰は水分を吸うと膨らむため、ある程度膨らんだら新品に交換するようにしましょう。

注意

この商品は安価なこともあり、乾燥剤3袋のセットと誤解しがちですが、実際には30グラムの乾燥剤が4袋入った袋が、3袋入っているので、1つ購入すれば30グラムの乾燥剤が12個届くことになります。ジップロックには乾燥剤を2個入れ、半年に1度交換する程度ですので、1つ購入すれば3年は困りません。買い過ぎにご注意ください。

タネの保存に関する注意点

頻繁に冷蔵庫から出し入れしない

急な温度変化の連続によってタネが劣化することがあるため、保存したタネを冷蔵庫から取り出す際は必要なタネ袋だけをジップロックから素早く取り出すようにし、残りは室温に戻る前にすぐに冷蔵庫に戻すようにしましょう。

保管したタネは使用前に室温に戻す

タネが冷えた状態で空気に触れると結露し大量の水分がタネに付着してしまうため、冷蔵庫から取り出したタネ袋はすぐに開封せず、完全に室温に戻してから閉じたビニールテープをはがして使うようにしましょう。

冷凍庫に保存しない

0 ℃以下では種子の内部に含まれる水分が細胞内で結晶化・膨張して細胞構造を壊し、発芽しなくなる恐れがあります。研究目的では100年単位の保管を目的とし水分除去を行ったうえで冷凍保存されることが多いですが、冷凍、解凍に一定の専門性を必要とするため、家庭では冷蔵庫に保存するようにしましょう。

8 COMMENTS

カズヤ

種の保管時に圧縮袋のようなものに入れて空気を抜いて保管はどうでしょうか?
真空状態に近いのも良くないでしょうか?

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Yu-Rin

カズヤさんへ

こんばんは。ご訪問ありがとうございます。
ご質問の件ですが、種子劣化の4要因(光、酸素、水分、高温)を排除出来れば良いので、真空圧縮して、タネを酸素と水分から隔離し、更に、冷暗所で保存する方法でも、特に問題はありません。
実際、希少種子の数十年単位での保存が必要な研究機関等では、真空保存するのが一般的です。

ただ、真空を作るためには、真空ポンプ等の特殊な機材が必要で、一般の家庭では難しいため、より手軽な、ジップロック+乾燥材+冷蔵庫がおススメです。

Yu-Rin

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たくぞ~

野菜そのものから採取した種の場合も
(種を充分に乾燥した上で)同様な方法で保存すればよいでしょうか。

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Yu-Rin

たくぞ~ さんへ
こんにちは。ご訪問ありがとうございます。
自家採種したタネの場合も、同様に保存すれば、発芽率を落とさず、長く保存することが出来ます。是非、お試しください。
Yu-Rin

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五十嵐 弘 

毎年野菜の種子を購入し使いきれずに捨てていましたが保存法の記事を拝見し早速試みようと思っています。この方法で翌年も播種出来たら最高ですね。

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Yu-Rin

五十嵐 弘さんへ
こんにちは。ご訪問&コメントありがとうございます。
私もこの方法で古いタネを保存していますが、正しく保管すれば経験上、数年間は全く問題なく発芽しますので、是非試してみてください。
Yu-Rin

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かつみ

早速、乾燥剤をリンクから購入したのですが、3つ入りかと思ったらなんと12個入りで、3つまとめて買ったので36個も届いちゃいました(笑

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Yu-Rin

かつみさん ご訪問ありがとうございます。確かに表記が少し分かりづらいですね。同様に誤解してしまう方がいるかもしれないので念のため本文にも注意書きを入れておきました。
Amazonでのご注文であれば注文履歴画面から簡単に返品出来るかと思いますので、必要に応じ確認してみてください。

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