メロンの一種で、芳醇な香りとさわやかな味わいが特徴のマクワウリも、プランターでタネから育てることが出来ます。
このページでは、マクワとしては非常に糖度が高く、家庭菜園で人気の品種「金太郎」をプランターで種から空中栽培する方法をご紹介します。
基本データ | |
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栽培難易度 | |
名称・別名 | マクワウリ(真桑瓜)、マクワ、東洋メロン、アジウリ(味瓜)、メロンウリ |
科名 | ウリ科 |
英名 | Oriental melon |
原産地 | インド(諸説あり) |
播種適期 | 4月中旬~5月上旬 |
種のまき方 | 点まき |
発芽適温 | 25~30℃ |
生育適温 | 25~30℃ |
発芽日数 | 3~5日 |
最適プランター | ベジタブルポット10号 |
Step 1:必要資材の準備
マクワウリをプランターで栽培するために、まずは必要となる資材や道具を揃えましょう。
はじめての家庭菜園でどれを買ったら良いか分からない場合は、この記事で使用している以下の資材一式を購入し、記載の手順通りに育てれば初心者でも失敗無く収穫することが出来ます。
タネ
糖度が高く、育てやすい家庭菜園の定番品種です(果重:400 g程度、果形:俵型、果皮:橙黄色、果肉:白色)。
プランター
あんどん型支柱と組み合わせ、立体的に栽培するため、丸型のベジタブルポット 10号がおススメです。
培養土
緩効性肥料入りの粒状培養土で、保水性、通気性、保肥性のバランスに優れているのが特徴です。
肥料
窒素、リン、カリがそれぞれ8%含まれる、最も一般的な化成肥料です。信頼できるメーカーのものを選ぶようにしましょう。
あんどん型支柱
あんどん型支柱は出来るだけ高さのあるものを選びましょう。今回は、150 cmのパワフル支柱 15号を使用しています。
ジョーロ
毎日の水やりに使用します。プランターの数が多くなってきたら、ホースリールの導入も検討してみてください。
Step 2:種まき
*新品のゴールデン粒状培養土を使用する場合、この手順は不要です。
*プランターのふちギリギリまで入れずに、3 ㎝程度、余裕をもって入れましょう。
*種をまくための「蒔き溝、蒔き穴」を作る必要はありません。
*このようにすると種を蒔いた部分だけが少し高くなって株元の排水性が向上し、根腐れを予防することができます。
*ホースリールを使用する場合は水勢を弱くし、土やタネが流れてしまわないよう注意。プランターは風通しの良い日なたに設置し、発芽するまでは毎朝1日1回の水やりを行いましょう。
Step 3:発芽・間引き
毎日水やりを行うと1週間ほどで順次発芽します(金太郎の発芽適温は、25~30 ℃です。寒さが残る時期では発芽しにくいため、ゴールデンウィーク頃の種まきがお勧めです)。
2枚の双葉の先端に種がついたまま発芽することが多々ありますが、しばらく放置すると自然に外れて双葉が展開します。
双葉が完全に展開し、本葉が出始めたタイミングで、初回の間引きを行って3株を残します。
間引きの方法:株間が十分に広い場合は、苗を指でつまんでまっすぐ上に引き抜くのが最も手軽ですが、ピンセットを使うと、混み合っている箇所でも正確に間引くことが出来ます。また、密集して発芽してしまった箇所は(根が絡まり、残したい株まで一緒に抜けてしまう恐れがあるため)ハサミで根元から切り取ると安全・確実に間引くことが出来ます。
しばらくするとウリ科特有の大きな本葉が展開するので、更に1株を間引いて2株とします。
3~4枚の本葉が展開したら、最終間引きを行って1本立ちとし、株元にしっかりと土寄せをしておきましょう。
マクワは栽培期間が長期となるため、定期的な追肥が必要です。緩効性肥料なら1か月おき、一般的な化成肥料なら2週間おきを目安として追肥しましょう。追肥の際は株元を避け、プランターのふちに沿って蒔くようにすると根が肥料焼けして痛んでしまう心配がありません。
Step 4:摘心
最終間引きを終えて、下の写真くらいのサイズ(本葉 5~7枚)になったら、摘心を行って、子ヅル2本仕立てとします。摘心とは、主枝の先端をハサミで切り落とすことによって、主枝の成長を止め、代わりに、わき芽の発生と成長を促す方法のことをいいます。
摘心は必ず良く晴れた日に行うようにしましょう(晴れていると切り口がすぐ乾き、病気になりにくい)。マクワウリの摘心の方法ですが、本葉5枚目~6枚目のすぐ上の主枝を、清潔なハサミでカットするだけです。
摘心後は以下のようになります(主枝と、側枝を間違えないように注意)。
Step 5:芽かき、整枝
摘心を終えると、次々に、わき芽(子ヅル)が成長するので、揃いの良い子ヅル2本を残して、他の子ヅルは手で折り取って除去し、子ヅル2本仕立てとします。
下の写真は、摘心後、1週間後の様子です。左右に1本ずつ子ヅルが良く伸びているので、今回はこの2本の子ヅルを残したいと思います。
下の写真は整枝前の様子です。青丸をつけた2本の子ヅル以外はすべて手で折り取ります。
こちらが、整枝後です。余計な子ヅルや花芽を除去して、全体的にすっきりしたことが分かります。
この後も、主枝や、子ヅルから、新たな芽が次々出てきますが、以下を参考に整枝してください。
Step 6:支柱立て、育成(空中栽培)
ある程度子ヅルが伸びてきたら、円形のベジタブルポットに3本脚のあんどん型支柱を刺し込み、子ヅルを麻ひもで誘引します。
庭に広いスペースがあれば、よしずなどを敷いて、地這い仕立てにしても構いませんが、あんどん型支柱を用いれば、狭いスペースでも立体的にマクワウリを栽培することが出来ます。
2本の子ヅルを左右に分けて、まっすぐ上に伸ばすように誘引すると、葉が重なり合わず、風通しが良い状態を最後まで保つことが出来ます。
マクワウリの子ヅルには基本的に雄花しか咲かないので、15~20節目で摘心し、雌花が咲く孫ヅルの生育を促しましょう。
今回使用した150 ㎝のあんどん型支柱(パワフル支柱 15号)の場合、子ヅルがちょうど支柱の先端に届くのがおよそ20節目になります(下の写真は摘心前の様子)。
下の写真は摘心後です。摘心は晴れた日に清潔なハサミで生長点を切るのが一般的ですが、子ヅルの先端は柔らかいので、手で折り取っても構いません。
Step 7:人工授粉・摘果・収穫
次第に、花が咲き始めます。今回使用している品種「金太郎」を含め、一般的なマクワウリでは、雄花が主枝と子ヅルに咲き、実になる雌花は孫ヅルに付く傾向があります。
雌花と、雄花が、朝、同時に開花したら、以下の手順どおりに人工授粉を行いましょう。
人工授粉を成功させるためには、4つの条件をすべて同時に満たすことが必要です。
- 晴れていること
- 雄花が咲いていること
- 雌花が咲いていること
- 朝9時までに人工授粉を完了すること
最終的には1ツルあたり3果(1株あたり2ツルなので、プランターあたり計6果)の収穫を目標としますが、人工授粉の成功確率は一般にあまり高くないので、すべての雌花への人工授粉を行い各ツル3果以上着果したら、状態の良い3果を残して他を摘果するようにしましょう。
人工授粉に成功するとマクワウリの果実となる「子房」が徐々に膨らんできます。
しばらくすると、さらに子房が肥大してマクワウリらしい形へと生長します。
マクワウリは完熟前に、実の重みで自然に落果してしまうことが多いので、出来るだけツルに負担を掛けないよう、ネットで吊っておくようにしましょう。
ネットは専用のものを購入しても構いませんが、排水口用の水切りゴミ袋から簡単に自作することが出来ます。ネットの開口部分を折り返して強度を高め、丈夫なビニール紐をヘアピンなどに引っ掛けて「なみぬい」すれば完成です。ビニール紐の部分を支柱に結び付けて、マクワウリの実の重さをしっかり支えるようにしましょう。
マクワウリは完熟し、収穫適期になると、下の写真のようにツルの付け根に円形の割れ目(離層)が出来、実にもひび割れが生じます。また、芳醇な香りが強くなり、色も黄金色に変化します。
完熟したマクワウリは、手で持って少しひねるだけで、ツルから簡単に外すことが出来ます。
是非採れたての芳醇な香りと、マクワウリならではのさわやかな甘みを堪能してみてください!
栽培のポイント・注意点
マクワウリのプランター栽培の要点
栽培の要点は以下の通りです。マクワウリは孫ヅルに雌花を付ける特性があるので、親ヅルを摘心して子ヅルの発生を促し、更に、子ヅルを摘心して、孫ヅルを発生させ、その孫ヅルに雌花を咲かせて着果させるのがポイントです。
- 本葉5枚で主枝を摘心して、子ヅル2本仕立てとする。
- 子ヅルは15~20節で摘心。子ヅルの4節目までのわき芽(孫ヅル)は取り除く。5節目以降の孫ヅルは雌花の先の葉2枚を残して摘心。すべて人工授粉し、子ヅル1本あたり3果を残して摘果。
- 完熟してから収穫。完熟しているかどうかは、果梗周辺のヒビ割れ(離層)や、色の変化、香りの強さから判別する。
- 空中栽培の場合、完熟する前に実の重さで自然に落果してしまうので、果実をネットに包んで支柱に固定しておく。
人工授粉のチャンスを逃さない
マクワウリ栽培の難しさは、整枝などの管理が複雑であることに加え、同じ日の朝に雌花と雄花が同時に咲かなければ人工授粉ができず着果しないところにあります。限られた人工授粉のチャンスを逃さないよう、毎朝必ずチェックを忘れないようにしましょう。
病虫害に注意
マクワウリはアブラムシやウリハムシなどの害虫に好まれます。株のサイズが大きく、防虫ネットで完全に覆うことも出来ないので、見つけ次第捕殺するようにしましょう。