ピーマンは虫害にさえ注意すれば、初心者でも1株から50~100個程度、2株植えのプランター1つで100~200個のピーマンを簡単に収穫することが出来ます。
この記事では病気に強くプランターでも大量収穫が可能な家庭菜園の人気品種「京ひかり」をプランターで種から栽培する方法をご紹介します。
(苗を購入して栽培する方は前半を適宜読み飛ばしてください)
基本データ | |
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栽培難易度 | |
名称・別名 | ピーマン、西洋唐辛子 |
科名 | ナス科 |
英名 | Bell pepper, Green pepper |
原産地 | 中南米 |
播種適期 | 4月中旬~5月上旬 |
種のまき方 | 点まき |
発芽適温 | 昼間:28~30℃、夜間:18~20℃ |
生育適温 | 25℃ |
発芽日数 | 6~8日 |
最適プランター | エアープランター600 |
Step 1:必要資材の準備
ピーマンをプランターで栽培するために、まずは必要となる資材や道具を揃えましょう。
はじめての家庭菜園でどれを買ったら良いか分からない場合は、この記事で使用している以下の資材一式を購入し、記載の手順通りに育てれば初心者でも失敗無く収穫することが出来ます。
タネ
病気に強く、生育旺盛で育てやすい家庭菜園の人気品種です。果色は濃緑色で、肥大性も良いのが特徴です。
プランター
ピーマンは野菜の中でも特に多くの栄養を必要とするので、土がたくさん入る大きめのプランターがおススメです。エアプランター600のように、別売りの支柱ホルダーが取り付けられるものだと、簡単かつ確実に支柱を固定することが出来、とても便利です。
培養土
緩効性肥料入りの粒状培養土で、保水性、通気性、保肥性のバランスに優れています。
肥料
窒素、リン、カリがそれぞれ8%含まれる、最も一般的な化成肥料です。信頼できるメーカーのものを選ぶようにしましょう。
支柱
長さ 120 cm前後、太さ11 mmのものがおススメです(セキスイ イボ竹 φ 11 mm x 120 cmなど)。
通販だと送料が高くなるので、近くのホームセンターや、園芸店で購入すると良いでしょう。表面がツルツルのものでも構いませんが、凹凸(イボ)があるもののほうが、麻ひもの固定がしやすいです。
ハサミ
整枝や、収穫に使用します。園芸専用のしっかりしたハサミを1つ用意しておくと、太い枝でも少ない力で安全にカットすることが出来、作業性が非常に良くなります。
ジョーロ
毎日の水やりに使用します。プランターの数が多くなってきたら、ホースリールの導入も検討してみてください。
Step 2:種まき
良く洗ったプランターに鉢底石を底が見えなくなるくらいまで入れる。
*新品のゴールデン粒状培養土を使用する場合、この手順は不要です。
プランターに培養土を入れ、表面を平らにならす。
*プランターのふちギリギリまで入れずに、3 ㎝程度、余裕をもって入れましょう。
*タネをまくための「蒔き溝、蒔き穴」を作る必要はありません。
点まき。エアープランター600なら2点、各点4粒。
培養土をタネが完全に見えなくなるまで追加する(すでにプランターに入っている培養土を「寄せる」のではなく、新たにタネの上に培養土を追加)。
*このようにするとタネをまいた部分だけが少し高くなって株元の排水性が向上し、根腐れを予防することができます。
プランターの排水口から水が流れ出るまでたっぷりと水を与える。
*ホースリールを使用する場合は水勢を弱くし、土やタネが流れてしまわないよう注意。プランターは風通しの良い日なたに設置し、発芽するまでは毎朝1日1回の水やりを行いましょう。
Step 3:発芽・間引き
毎日水やりを行うと1週間ほどで順次発芽します(京ひかりの発芽適温は、昼間28~30 ℃、夜間18~20 ℃です。寒さが残る時期では発芽しにくいため、ゴールデンウィーク頃の種まきがお勧めです)。
双葉が完全に展開し、本葉が出始めたタイミングで、初回の間引きを行って各点2~3株、プランター全体で4~6株とします。
間引きの方法:株間が十分に広い場合は、苗を指でつまんでまっすぐ上に引き抜くのが最も手軽ですが、ピンセットを使うと、混み合っている箇所でも正確に間引くことが出来ます。また、密集して発芽してしまった箇所は(根が絡まり、残したい株まで一緒に抜けてしまう恐れがあるため)ハサミで根元から切り取ると安全・確実に間引くことが出来ます。
しばらくすると本葉が展開します(ピーマンの本葉は2枚ずつ増えます)。葉が重なり合うようになったら更に1株を間引いて各点2株としましょう。
下の写真くらいのサイズになったら、最終間引きを行い、各点1株、プランター全体で計2株とします。
ピーマンは栽培期間が長期となるため、定期的な追肥が必要です。緩効性肥料なら1か月おき、一般的な化成肥料なら2週間おきを目安として追肥しましょう。追肥の際は株元を避け、プランターのふちに沿って蒔くようにすると根が肥料焼けして痛んでしまう心配がありません。
Step 4:支柱立て
最終間引きを終えて、下の写真くらいのサイズになったら、本支柱を設置して、麻ひもで主枝を誘引します。
エアープランター600と併せ、専用の支柱ホルダーを使用すると、以下のように簡単に支柱を固定することが出来、強風で支柱が倒れてしまう心配もありません。今回は太さ11 mm, 長さ1200 mmの支柱を使用しています。
麻ひもによる支柱への誘引の方法ですが、下の写真のように、ピーマンの主枝の側はゆるくし、支柱側をしっかり結ぶようにするのがコツです。
Step 5:整枝(仕立て)
しばらくすると1番花の花芽が付きます。この頃になると、各節(葉の付け根)から「わき芽」が伸びてくるので整枝を行いましょう。
ピーマンの整枝の概要は以下のとおりです。ピーマンは一番花のすぐ下の節、または、一番花と同じ節から、主枝と見分けがつかないほど勢いの良い側枝が出て、2股に分かれるので(=第一分枝)、第一分枝より下のわき芽をすべて摘み取り、第一分枝より上を放任とする整枝法がお勧めです。
実際の様子は以下の通りです。写真の一番上に、2つの花芽が付いていますが、そのすぐ下の節(青丸)が第一分枝です。栄養を集中させるため、第一分枝より下の節から出るわき芽はすべて手で摘み取っておきましょう。
整枝後は、下の写真のようになります。第一分枝より上は樹勢維持と、収量アップのため、わき芽を取らず放任とします。
Step 6:育成・収穫
整枝してしばらく育成すると花が咲き始めます。
ピーマンは人工授粉などを行わなくても、次々に自然着果して沢山の実をつけます(自家受粉性)。
実が適度な大きさになったら、ハサミでカットして収穫しましょう。採り遅れるとパプリカのように赤く完熟しますが、株に大きな負担がかかるため、出来るだけ早めに若取りするのが多収のコツです。
最盛期になるとプランターでもこんなに大量に着果し、うまくいけば1株あたり100個程度のピーマンを収穫することが出来ます。
採れたてならではの、ピーマンの新鮮な風味を是非楽しんでみてください!
栽培のポイント・注意点
ピーマンをプランター栽培するためのポイント
今回ご紹介した「京ひかり」の整枝方法と栽培の要点は以下の通りです。
- 一番花のすぐ下の節、または、一番花が付く節で、主枝と見分けがつかないほど勢いの良い側枝が伸びるので(=第一分枝)、第一分枝より下のわき芽をすべて摘み取り、第一分枝より上のわき芽(側枝)はそのまま放任する。
- 基本的には最初の花芽を含め、すべて着果させて収穫する(摘果は不要)。株全体の成長が悪い場合は、一番果を摘果する。
- 人工授粉は不要。
- 摘心は不要。
- 強い光を好むため、直射日光の当たる日当たりの良い場所で栽培。
- 株に負担を掛けないよう早めの収穫を心掛ける
連作障害に注意
ナス科野菜全般にいえることですが、ピーマンも連作障害を受けやすい特性があります。ピーマンを栽培する際は、新しい培養土、または、過去3~4年はナス科野菜の栽培に使用していない土を使用するようにしましょう。
連作障害とは、同じ科の野菜を連続して栽培することで、その科に特有の病原菌が土壌中で大量増殖し、また、その科が特に必要とする栄養分が著しく不足することによって土の栄養バランスが崩れ、結果として、うまく野菜が育たない状態に陥ることをいいます。
尻腐れ果の発生を防ぐため、十分な水やりを行う
真夏の高温乾燥期は、尻腐れ果などの生理障害発生を予防するため、朝晩、1日2回の水やりを行うようにしましょう。
尻腐れとは、果頂部(ピーマンの先端部分)が黒く変色し壊死してしまうこと。高温乾燥期の尻腐れ果の発生は、主に土壌中の水分が不足することによってカルシウム分を吸収できなくなり、カルシウム不足となることが原因。また、肥料の与えすぎによる窒素過剰が原因となることもあります。尻腐れ果は、大きくなる前に摘果し、取り除くようにしましょう。
ピーマンの実が付かない主な原因
花は咲くのに、結実せずに花が落ちてしまうことがあります。ピーマンの実がならない主な原因は、以下の通りです。
- 日照不足
光合成不足による栄養状態の悪化が原因。特に梅雨の時期に多いですが、梅雨が明ければ自然に実を付けるようになります。
日当たりが悪い場所にプランターを設置している場合は、直射日光が良くあたる場所に移動させましょう。 - 肥料不足
実をつけるためには大量の栄養を消費します。大きめのプランターで栽培し、定期的な追肥も行うようにしましょう。 - 窒素過剰
肥料を与えすぎて、窒素過多になることでも、実付きが悪くなります。花が下を向かずに上や横を向く、花びらの数が6枚ではなく5枚のものが多い、葉が異常に大きい、などのサインが見られる場合は窒素過多が原因と考えられるため、しばらくは追肥を控えましょう。
また、窒素過剰になると、実の先端が黒くなって腐る「尻腐れ果」が発生しやすくなります。一般に「尻腐れ」はカルシウム不足が原因とされていますが、窒素過多がカルシウム不足の原因となるため、結果として、窒素過多で尻腐れが発生することになります。 - 水分不足
ピーマンは根が浅いこともあり、乾燥に弱く、夏季は水分不足になりがちです。特に、梅雨明け後の8月は、朝、夜、1日2回の水やりを欠かさないようにしましょう。