玉ねぎは栽培期間が非常に長く、種から育てる場合、9カ月間にも及ぶ管理が必要となります。病虫害の心配は基本的に無いので栽培自体はそれほど難しくありませんが、短期間で玉ねぎを育ててみたい方は、市販の「玉ねぎ苗」や、「ホーム玉ねぎ」を購入すれば、より手軽に栽培することも出来ます。
このページでは生育旺盛で育てやすく、保存性にも優れる家庭菜園の定番品種「O・P黄(オーピーキ)」をプランターで種から栽培する方法をご紹介します。
基本データ | |
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栽培難易度 | |
名称・別名 | 玉葱(=葱頭、たまねぎ) |
科名 | ヒガンバナ科(旧分類:ユリ科) |
英名 | Onion |
原産地 | 中央アジア |
播種適期 | 9月 |
種のまき方 | 条まき |
発芽適温 | 15~20℃ |
生育適温 | 15℃前後 |
発芽日数 | 6~8日 |
最適プランター | レリーフプランター650 |
Step 1:必要資材の準備
玉ねぎをプランターで栽培するために、まずは必要となる資材や道具を揃えましょう。
はじめての家庭菜園でどれを買ったら良いか分からない場合は、この記事で使用している以下の資材一式を購入し、記載の手順通りに育てれば初心者でも失敗無く収穫することが出来ます。
タネ
生育が旺盛で育てやすく、保存性にも優れる家庭菜園の人気品種です。
プランター
玉ねぎはそれほど多くの土量を必要としないので、レリーフプランター(2列、条まき)がおススメです。
培養土
緩効性肥料入りの粒状培養土で、保水性、通気性、保肥性のバランスに優れています。
肥料
窒素、リン、カリがそれぞれ8%含まれる、最も一般的な化成肥料です。信頼できるメーカーのものを選ぶようにしましょう。
ジョーロ
毎日の水やりに使用します。プランターの数が多くなってきたら、ホースリールの導入も検討してみてください。
Step 2:種まき
良く洗ったプランターに鉢底石を底が見えなくなるくらいまで入れる。
*新品のゴールデン粒状培養土を使用する場合、この手順は不要です。
プランターに培養土を入れ、表面を平らにならす。
*プランターのふちギリギリまで入れずに、3 ㎝程度、余裕をもって入れましょう。
*タネをまくための「蒔き溝、蒔き穴」を作る必要はありません。
条まき。レリーフプランター650なら2条。
*5 mm間隔を目安として種を蒔きましょう。
培養土をタネが完全に見えなくなるまで追加する(すでにプランターに入っている培養土を「寄せる」のではなく、新たにタネの上に培養土を追加)。
*このようにするとタネをまいた部分だけが少し高くなって株元の排水性が向上し、根腐れを予防することができます。
プランターの排水口から水が流れ出るまでたっぷりと水を与える。
*ホースリールを使用する場合は水勢を弱くし、土やタネが流れてしまわないよう注意。プランターは風通しの良い日なたに設置し、発芽するまでは毎朝1日1回の水やりを行いましょう。
Step 3:発芽・間引き・育苗
毎日水やりを行えば1週間ほどで一斉に発芽します。
上の写真から3日ほどすると、苗の先端が土の中から抜け出て、まっすぐ上に伸び始めます。このタイミングで初回の間引きを行い、株間1.5 ㎝程度としましょう(写真は間引き後の様子)。
間引きの方法:株間が十分に広い場合は、苗を指でつまんでまっすぐ上に引き抜くのが最も手軽ですが、ピンセットを使うと、混み合っている箇所でも正確に間引くことが出来ます。また、密集して発芽してしまった箇所は(根が絡まり、残したい株まで一緒に抜けてしまう恐れがあるため)ハサミで根元から切り取ると安全・確実に間引くことが出来ます。
プランター全体としてはこのようになります。
しばらくすると葉が増えますが、非常に細いので、株間1.5 ㎝でも風通しや日当たりが悪くなることはありません。
これくらい葉が増えてきたら2回目の間引きを行い、株間2.5~3 ㎝程度としましょう(間引き直前の様子)。
11月に入ると株元もかなりしっかりしてきます。
よく見ると、株元がわずかに膨らみ始めていることも確認できます。
株元の白い部分が鉛筆の太さと同じくらいになったら、3回目の間引き(最終間引き)を行い、最終株間5~6 ㎝とします(間引き後の様子)。
最終間引きを行う際、根を切らないように慎重に引き抜いて、それを別のプランターに植え付ければ2倍の量の玉ねぎを栽培・収穫することができます。
すなわち、鉛筆程度の太さまで玉ねぎ苗を育てたら、1本おきに半分を間引いて別のプランターに5~6 ㎝間隔で植え付け、計2つのプランターで栽培することでちょうど倍量の玉ねぎを収穫出来ることになります。
玉ねぎ苗を植え付ける際は、根が出ている純白部分を完全に土の中に埋め、葉の分岐点(生長点)は土から1.5 ㎝程度上に来るように植え付けましょう。
玉ねぎは栽培期間が長期となるため、定期的な追肥が必要です。緩効性肥料なら1か月おき、一般的な化成肥料なら2週間おきを目安として追肥しましょう。追肥の際は株元を避け、プランターのふちに沿って蒔くようにすると根が肥料焼けして痛んでしまう心配がありません。尚、苗の移植(定植)直後は追肥を控えましょう。また、追肥は翌年3月中旬頃までとし、以降は食部を肥大させるため一切追肥しないようにするのがポイントです。
Step 4:育成・収穫
最終間引き(又は、玉ねぎ苗の定植)を終えたら、しばらくそのまま育成します。
12月に入ると株元がさらに大きく膨らみ、この頃からやや丸みを帯びるようになります。
12月末になると、寒さで下葉が枯れ始めますが、玉ねぎは耐寒性が強いため、葉の上に直接雪が降り積もっても枯れることはありません。虫や病気の心配もないため、そのまま無被覆で春の訪れを待ちましょう。
年が明けて3月に入ると再び活発に成長し始めます。3月上旬にしっかり追肥して成長を促し、3月下旬以降は(品質低下の原因となるため)追肥を控えましょう。
5月初旬(ゴールデンウィーク)頃になると株元がぷっくら肥大し、いわゆる「ホーム玉ねぎ」となります。1株おきにベビーオニオン(ペコロス)として収穫し、株間を10~12 ㎝に広げましょう。
この時期に収穫した小型の玉ねぎは、ベビーオニオン、プチオニオン、プチ玉ねぎ、ペコロスなどと呼ばれ、そのままカットせずにシチューなどに入れるととても美味しく頂けます。
ベビーオニオンを収穫した後も追肥せず、そのまま水だけで栽培を継続します。
5月下旬ごろになると玉がまるまると太ってきますが、まだ収穫には早いです。
玉ねぎの収穫タイミングの見極め方ですが、下の写真のように茎が倒伏していることが玉ねぎの収穫適期の目安となります(6月頃)。
玉ねぎの収穫方法は葉をつかんで引き抜くだけなので、子供でも簡単に収穫を楽しむことが出来ます。
収穫後、葉の部分を縛って軒先などに吊るしておけば(O・P黄の場合)12月末頃まで貯蔵することが出来ます。種から栽培する場合、9月~翌年6月までの長期栽培となりますが、失敗しにくい野菜でもありますので、是非ご家族で挑戦してみてください。
栽培のポイント・注意点
根気が大切
玉ねぎは栽培自体はとても簡単なので、市販の玉ねぎ苗や、ホーム玉ねぎをプランターに植え付けるだけであれば家庭菜園未経験の初心者でも簡単に栽培することができます。
種から栽培する場合は長期の管理が必要となるため、特に、強風によるプランターの転倒、長期旅行中の水不足などに注意しましょう。
玉ねぎ苗の選び方
時期になるとホームセンターなどで玉ねぎ苗が売られますが、購入の際は、出来るだけ以下の基準を満たす苗を選ぶようにしましょう。
- 葉が青々していて力強い。
- 根元が肥大しておらず直径7 mm程度(鉛筆の太さが目安)。
- 根がしっかり生え揃っていて、株元と根の色が純白であること。
言葉では分かりづらいですが、要するに以下のような苗が理想的といえます。
冬場もしっかり管理
厳寒期は寒さによって下葉が枯れてきます。そのまま放置すると雨にあたって腐り不衛生になるため、茶色く枯れた葉は定期的に摘み取るようにしましょう。
玉ねぎは黒マルチをしなくっても大きく育ちますか?(プランター)
ゆきさんへ
こんにちは。ご訪問ありがとうございます!
玉ねぎは非常に耐寒性が強いので、中間地であれば、黒マルチをしなくても全く問題なく、大きく育ちます。
(この記事でも、黒マルチ、保温資材等は使用していません)
Yu-Rin
分かりやすい説明ありがとうございます。
初めて小さな玉ねぎ状の乾燥したものを購入し、プランターに植え付けました。
現在とても葉が伸びています(50~60センチぐらい)。
葉は食べられますか?30センチぐらいに切っても大丈夫ですか?
教えて下さい。
ばーばせんださんへ
こんばんは。ご訪問ありがとうございます!
お問い合わせの件ですが、タマネギの葉は、ジャガイモのように毒があるわけではないですし、そもそも、玉ねぎの食用部も分類上は「葉」なので(専門的には「鱗茎」といいます)、もちろん食べても問題はありません。
「葉タマネギ」と呼ばれる、主に葉を食用とする品種もあります。
ただ、一般的には、玉が4㎝くらいに肥大すると、地上部の葉は硬くなり、食べても美味しくありません。また、葉を切っても、またすぐ伸びてきますが、そのために栄養が使われてしまうため、玉の肥大が悪くなってしまいます。
玉ねぎとして収穫したい株については、葉を切らないことをお勧めします。
葉が混み合っているようでしたら、間引いて株間を広げ、間引いた玉ねぎの葉がまだ柔らかければ、食べてみるのが良いと思います。
プランターで玉ねぎ栽培していますが、11月苗買って順調に育っていました。間引きをするの忘れていたので3月に間引きました。追肥も2回位しましたが太ったのを残していますがまだ大きく実ができません。これから大きくなるのかしら?追肥はやっていいのかな?教えて下さい
太田知子さんへ
こんばんは。ご訪問ありがとうございます!
一般に、肥料が効きすぎると、逆に、玉の肥大は遅くなってしまいます。
すでに2回、追肥しているとのことですので、恐らく、肥料が多すぎて、玉の肥大が抑制されているものと思いますので、しばらく、水だけを与え、様子を見てみてください。
4月以降、暖かくなれば、徐々に、肥大が進むと思います。
Yu-Rin