夏野菜としてお馴染みのオクラは、そのネバネバに水溶性食物繊維が多く含まれ、夏バテ解消や疲労回復に効果があるとされる健康野菜です。果菜ではあるものの人工授粉が不要で、節ごとに必ず実が付く特性があるため、プランター1つでもたくさんの収穫を楽しむことが出来ます。
オクラは切り口が五~八角形の角オクラと、丸い形の丸オクラ(島オクラ)の2種類に大別されますが、この記事では五角オクラの極早生・多収品種である「アーリーファイブ」をプランターで種から栽培する方法をご紹介します。
基本データ | |
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栽培難易度 | |
名称・別名 | オクラ、アメリカネリ、ネリ、陸蓮根(おかれんこん) |
科名 | アオイ科 |
英名 | Okra, Ladies’ finger, Ochro |
原産地 | アフリカ |
播種適期 | 4月中旬~5月上旬 |
種のまき方 | 点まき |
発芽適温 | 25~30℃ |
生育適温 | 20~30℃ |
発芽日数 | 4~6日 |
最適プランター | レリーフプランター650 |
Step 1:必要資材の準備
オクラをプランターで栽培するために、まずは必要となる資材や道具を揃えましょう。
はじめての家庭菜園でどれを買ったら良いか分からない場合は、この記事で使用している以下の資材一式を購入し、記載の手順通りに育てれば初心者でも失敗無く収穫することが出来ます。
タネ
五角オクラの極早生・多収品種で、各節に連続して実が付く家庭菜園の定番品種です。他の品種よりも一回り草丈が小さめなので、特にプランター菜園に向いています。
プランター
オクラはそれほど多くの土量を必要としないので、レリーフプランター(点まき、3点)がおススメです。
培養土
緩効性肥料入りの粒状培養土で、保水性、通気性、保肥性のバランスに優れています。
肥料
窒素、リン、カリがそれぞれ8%含まれる、最も一般的な化成肥料です。信頼できるメーカーのものを選ぶようにしましょう。
ジョーロ
毎日の水やりに使用します。プランターの数が多くなってきたら、ホースリールの導入も検討してみてください。
Step 2:種まき
良く洗ったプランターに鉢底石を底が見えなくなるくらいまで入れる。
*新品のゴールデン粒状培養土を使用する場合、この手順は不要です。
プランターに培養土を入れ、表面を平らにならす。
*プランターのふちギリギリまで入れずに、3 ㎝程度、余裕をもって入れましょう。
*タネをまくための「蒔き溝、蒔き穴」を作る必要はありません。
点まき。レリーフプランター650なら3点、各点4粒。
培養土をタネが完全に見えなくなるまで追加する(すでにプランターに入っている培養土を「寄せる」のではなく、新たにタネの上に培養土を追加)。
*このようにするとタネをまいた部分だけが少し高くなって株元の排水性が向上し、根腐れを予防することができます。
プランターの排水口から水が流れ出るまでたっぷりと水を与える。
*ホースリールを使用する場合は水勢を弱くし、土やタネが流れてしまわないよう注意。プランターは風通しの良い日なたに設置し、発芽するまでは毎朝1日1回の水やりを行いましょう。
Step 3:発芽・間引き
毎日水やりを行うと1週間ほどで一斉に発芽します(アーリーファイブの発芽適温は、25~30 ℃です。寒さが残る時期では発芽しにくいため、ゴールデンウィーク頃の種まきがお勧めです)。
発芽直後は2枚の双葉が種の内側に収納されていますが、しばらく放置すると自然に種が取れ双葉が展開します。双葉が展開したら初回の間引きを行い、各点3株とします。
さらに、本葉が出始めたタイミングで、もう1株ずつ間引いて各点2株としましょう。オクラは根が横に広がらないため、手でつかんで軽く引き抜くだけで簡単に間引くことが出来ます。
オクラは他の野菜と比べると、初期の成長が非常に遅く、このサイズに育つまで種まきから1カ月近く掛かります。
これくらい葉が混み合ってきたら、最終間引きを行い、各点1株、プランター全体で計3株としましょう(最終間引き直前の様子)。
オクラは直根性のため、これくらいのサイズでも手で地上部を引っ張れば簡単に抜き取ることが出来ます。風でぐらつかないように、しっかりと土寄せもしておきましょう。
オクラは栽培期間が長期となるため、定期的な追肥が必要です。緩効性肥料なら1か月おき、一般的な化成肥料なら2週間おきを目安として追肥しましょう。追肥の際は株元を避け、プランターのふちに沿って蒔くようにすると根が肥料焼けして痛んでしまう心配がありません。
Step 4:育成・収穫
最終間引きを終えたら、しばらくそのまま育成します。
株の先端を良く見ると、つぼみが沢山出来ていることが分かります。
数日すると、観賞用としても非常にきれいなオクラの花が咲き始めます。
オクラは花の構造上、花の中で雄しべと雌しべが接触し、開花時には自然受粉が完了しているため、人工授粉を行う必要はありません。節ごとに花が付き、花が咲いて落ちた後にはほぼ100%着果することになります。
開花後、花が落ちると、今度は実が膨らみ始めます。下の写真のように3~4節目くらいから着果しはじめ、それ以降はすべての節に1つずつ着果するため、プランター1つ=3株でも、50個以上のオクラを収穫することが出来ます。
実のサイズが6~7 ㎝になったら早めに収穫するようにしましょう(開花から5日前後)。
オクラの収穫方法ですが、実の付け根(果梗)を園芸用ハサミで1つずつカットして行います。また、新鮮なオクラには鋭いトゲがあるので、小さなお子様と一緒に収穫する際は、園芸用手袋を使用すると安心です。
栽培のポイント・注意点
人工授粉は不要
オクラは人工授粉を行わなくてもほぼ100%着果し、また、各節ごとに自然に実がなるので、手間も掛からずたくさん収穫することが出来ます。稀に1つの節に2つ着果してしまうことがありますが、その際は片方を早めに摘果し、過度に株に負担を掛けないようにしましょう。
下葉刈りで栄養を集中
収穫期に入ったら下葉に栄養が取られないように、(実がなっている節の葉を含め)実の下の3枚の葉を残し、それより下の葉はすべてハサミで刈り取っておきましょう(摘葉)。こうすることで風通しも良くなり、実のつきも良くなります。以降は1つ収穫するごとに下葉を1枚摘葉するようにします。
早取りで多収に
収穫期になると次々にオクラが肥大し、収穫が追い付かなくなりがちですが、採り遅れると株に大きな負担がかかり、後続の実の付きが悪くなってしまうため、毎朝必ず収穫するようにしましょう。