じゃがいもは種いもの植え付けから収穫まで3カ月半程度掛かりますが、栽培自体はとても簡単なので、家庭菜園初心者でもこのページに記載する手順を守れば無理なく育てることが出来ます。
この記事では皮の色が赤い希少品種「レッドムーン」をプランターで種から栽培する方法をご紹介します。
基本データ | |
---|---|
栽培難易度 | |
名称・別名 | 馬鈴薯(じゃがいも、ばれいしょ)、二度芋(にどいも)、三度芋(さんどいも)、禿頭芋(きんかいも) |
科名 | ナス科 |
英名 | Potato, Solanum tuberosum |
原産地 | 南アメリカ |
植え付け適期 | 3月~4月 または 8月下旬~9月 |
発芽適温 | 10~20℃ |
生育適温 | 15~20℃ |
発芽日数 | 2~3週間 |
最適プランター | エアープランター600 |
Step 1:必要資材の準備
じゃがいもをプランターで栽培するために、まずは必要となる資材や道具を揃えましょう。
はじめての家庭菜園でどれを買ったら良いか分からない場合は、この記事で使用している以下の資材一式を購入し、記載の手順通りに育てれば初心者でも失敗無く収穫することが出来ます。
タネイモ
どの品種でも同様に栽培することが出来ますが、せっかくの家庭菜園なので、一般にはあまり売られていない希少品種の栽培に挑戦してみてはいかがでしょうか?このページでは、皮の色が赤いレッドムーンという品種を栽培します。
プランター
ジャガイモは土の中で育つので、十分な深さがあり、容量も大きなプランターを選びましょう。
*エアプランター600は、この記事で使用している「レリーフプランター深型600」の後継製品です。
培養土
緩効性肥料入りの粒状培養土で、保水性、通気性、保肥性のバランスに優れています。
肥料
窒素、リン、カリがそれぞれ8%含まれる、最も一般的な化成肥料です。信頼できるメーカーのものを選ぶようにしましょう。
ジョーロ
毎日の水やりに使用します。プランターの数が多くなってきたら、ホースリールの導入も検討してみてください。
Step 2:種いもの植え付け
*新品のゴールデン粒状培養土を使用する場合、この手順は不要です。
*じゃがいもの緑化を防止するため、後から培養土を順次追加します。そのため最初は下の写真のように培養土を少なめに入れるのがポイントです。
*種いもが発芽していない場合は、予め軒下などに放置して発芽させ、芽の数が均等になるように切り分けましょう。
*エアープランター600の場合、プランターのサイドから12 cmのところに1個、そこから18 cmおきに計3個の種いもを植え付けます。
*新じゃがいもは種芋の上に出来るので、種いもを深く(土が7 cm程度かかるくらい)植え付けるようにします。
*種いもの準備に関する詳細は「栽培のポイント・注意点」に記載しています。
*ホースリールを使用する場合は水勢を弱くし、土が流れてしまわないよう注意。プランターは風通しの良い日なたに設置し、発芽まで以降の水やりは不要です。
Step 3:発芽・芽かき
春作だと、種芋の植え付けからおよそ2週間程度で一斉に発芽します。
種芋の切り分け方にも拠りますが、1つの種芋から3~5本の芽が出てきます。
このくらいのサイズになったら、芽かき(間引き)を行いましょう(芽かき直前の様子)。
ジャガイモの芽かきの方法ですが、各点生育の良い2本を残し、他の芽は土表面をしっかりと手で押さえながら、慎重に1本ずつ手で引っ張って種芋から取り外すようにして行います。
下の写真は、芽かき直後の様子です(各点2本、計6本)。
じゃがいもは光が当たるとソラニンという毒素が生成してしまうため、芽かきを行ったら、株元にしっかりと土を寄せておきましょう(必要に応じ培養土を追加=土増ししても構いません)。
じゃがいもは栽培期間が長期となるため、定期的な追肥が必要です。緩効性肥料なら1か月おき、一般的な化成肥料なら2週間おきを目安として追肥しましょう。追肥の際は株元を避け、プランターのふちに沿って蒔くようにすると根が肥料焼けして痛んでしまう心配がありません。花が咲きはじめたら地上部の成長を抑制してイモを肥大させるため、以降の追肥は一切行わず水のみで栽培するのがポイントです。
Step 4:育成・収穫
徐々に株が大きくなりますが適宜土寄せや土増しを行い、いもが光に当たることのないように注意しながら育成します。
このくらいのサイズになったら培養土を追加し、さらに株元に土を寄せるようにしましょう。
5月中旬頃になると紫色の花が咲きはじめます。これ以降は地上部の生育を抑制して、いもを肥大させるため、葉がしおれても追肥してはいけません。
じゃがいもの花を見たことがある方は少ないかもしれませんが、意外ときれいな花をたくさん咲かせます。花を摘み取る必要は無く、そのまま放置すれば自然に落花します。
落花後、しばらくすると、下葉から黄色く枯れ上がってきます。他の野菜だと、病気の発生や、肥料切れなどを疑いますが、じゃがいもの場合はこれが正常で、地下部が肥大してきているサインです。
完全に枯れた葉はそのままにしても構いませんが、もし余力があれば腐敗に伴う病気の発生を避けるためこまめに摘み取り、株を清潔に保っておくと良いです(枯れ葉を摘み取った後の様子)。
葉が完全に枯れ上がったらじゃがいもの収穫適期です。早すぎると水っぽいジャガイモになってしまうため、しっかり枯らしてから収穫するようにしましょう(下の写真は収穫適期のじゃがいも)。
じゃがいもの収穫の方法ですが、まず地上部を地際からハサミで刈り取り、次に、プランターを横に倒し、土ごとじゃがいもをプランターから出すのがお勧めです。こうすると、いもを全く傷つけることなく収穫することが出来ます。
収穫したじゃがいも(品種:レッドムーン)がこちら。真っ赤な皮が特徴の希少品種ですが、プランター1つでこんなにたくさん収穫することが出来ます。
採れたてのジャガイモは、煮ても焼いても揚げても美味しく頂けます。
栽培のポイント・注意点
種いもの販売時期を逃さない
種いもは時期になると園芸店やホームセンター、ネット通販などで購入することが出来ますが、その販売期間は非常に短く、購入できるのは通常1月~2月、または、8月前半のみです。植え付けるタイミングではすでに販売が終了していることが多いため、早めに栽培計画を立て、種いもを確保しておくようにしましょう。
種芋は植え付け前に発芽させる
購入した種いもがあまり発芽していない場合は、数日軒下などに放置し、しっかりと発芽させてから植え付けるようにしましょう。発芽不十分なまま植え付けてしまうと、発芽が揃わないことがあります。
出来るだけ大きな種いもを使用する
家庭菜園の成書では、40グラム程度に種イモをカットし植え付けるように記載されていることが多いのですが、プランター菜園においては畑とは異なり、土の湿度を一定に保つことが難しいため、水分管理を容易にするためやや大きめにカットして植えつけるようにしましょう。具体的には、芽の数が均等になるように注意しながら1つあたりの重量が65グラム前後になるように種イモを包丁で切り分けて植え付けるのが理想です。
また、小さな種芋からは、小さなイモしか採れないため、大きく立派なじゃがいもを収穫するためには、大きな種芋を、贅沢に大きく切って使うようにしましょう。
春作がお勧め
暑い時期に包丁で切りたての種イモを土に埋めれば当然ながら腐ってしまいます。8~9月に植え付ける場合は、カットした部分に灰を付けるか、しばらく乾かしてから植え付けるようにしましょう。
尚、春作であれば切りたての種イモをそのまますぐに土に植え付けても腐ることは無く、失敗しづらいため、はじめてのじゃがいも栽培には春作がお勧めです。
培養土の酸度調整は不要
古土を使用する場合など、植え付け前に苦土石灰を入れて土の酸度調整を行うことがしばしばあると思いますが、じゃがいもは塩基性(アルカリ性)に弱く、酸性の土を好む性質があるため、苦土石灰の使用は控え、そのまま使用するようにしましょう。
食用いもを、種いもとして使用しない
食用のじゃがいもには発芽防止処理が施してあったり、菌やウィルスに冒されていることがあるため、栽培用の種イモとして使用することは出来ません。必ずホームセンターや園芸店で種イモとして売られているものを使用しましょう。