インゲンの育て方

つる無しインゲンの栽培方法

天ぷらや胡麻和え、また味噌汁の具としても定番のサヤインゲンは、果菜ではあるものの人工授粉などの特別な管理は不要で、種まきから2カ月弱で収穫することが出来ます。

インゲンは、成熟した豆を食用とするいんげん豆と、未熟果をサヤごと食用とするサヤインゲンの2種に大別されますが、日本で単にインゲンといえば、通常はサヤインゲンのことを指します。

インゲンはさらにつるなし種(矮性種=わいせいしゅ)と、つるあり種に分類されますが、このページではプランター栽培に適したツル無しサヤインゲン「さつきみどり2号」をプランターで種から栽培する方法をご紹介します。

基本データ
栽培難易度 
名称・別名鞘隠元(サヤインゲン)、隠元豆(インゲンマメ)、三度豆(サンドマメ)、菜豆(サイトウ)、ササギ
科名マメ科
英名Green beans, French beans, Snap beans
原産地中南米
播種適期4月中旬~5月上旬
種のまき方点まき
発芽適温23~25℃
生育適温15~25℃
発芽日数4~7日
最適プランターレリーフプランター650

Step 1:必要資材の準備

インゲンをプランターで栽培するために、まずは必要となる資材や道具を揃えましょう。

はじめての家庭菜園でどれを買ったら良いか分からない場合は、この記事で使用している以下の資材一式を購入し、記載の手順通りに育てれば初心者でも失敗無く収穫することが出来ます。

タネ

プランター菜園に最適な草丈45 cm程度のツル無し種で、莢付きが良く、食味と風味が豊かな家庭菜園の人気品種です。すじの無い丸莢どじょうインゲンで、莢の長さは13~14 cm、播種後54日で収穫することが出来ます。

プランター

インゲンはそれほど多くの土量を必要としないので、レリーフプランター(点まき、4点)がおススメです。

培養土

緩効性肥料入りの粒状培養土で、保水性、通気性、保肥性のバランスに優れています。

支柱

必ずしも必要ではないのですが、強風や、実の重みで、株全体が倒れてしまうことがあるので、念のため予め用意しておくようにしましょう。長さ 90 cm前後、太さ11 mmのものがおススメです(セキスイ イボ竹 φ 11 mm x 90 cmなど)。

通販だと送料が高くなるので、近くのホームセンターや、園芸店で購入すると良いでしょう。表面がツルツルのものでも構いませんが、凹凸(イボ)があるもののほうが、麻ひもの固定がしやすいです。

ジョーロ

毎日の水やりに使用します。プランターの数が多くなってきたら、ホースリールの導入も検討してみてください。

Step 2:種まき

手順1
鉢底石を入れる

良く洗ったプランターに鉢底石を底が見えなくなるくらいまで入れる。
*新品のゴールデン粒状培養土を使用する場合、この手順は不要です。

手順2
培養土を入れる

プランターに培養土を入れ、表面を平らにならす。
*プランターのふちギリギリまで入れずに、3 ㎝程度、余裕をもって入れましょう。
*タネをまくための「蒔き溝、蒔き穴」を作る必要はありません。

手順3
タネをまく

点まき。レリーフプランター650なら4点、各点4粒。種のへそを下にする。

インゲンの種のまき方

手順4
タネに土をかぶせる

培養土をタネが完全に見えなくなるまで追加する(すでにプランターに入っている培養土を「寄せる」のではなく、新たにタネの上に培養土を追加)。
*このようにするとタネをまいた部分だけが少し高くなって株元の排水性が向上し、根腐れを予防することができます。

手順5
水やりをする

プランターの排水口から水が流れ出るまでたっぷりと水を与える。
*ホースリールを使用する場合は水勢を弱くし、土やタネが流れてしまわないよう注意。プランターは風通しの良い日なたに設置し、発芽するまでは毎朝1日1回の水やりを行いましょう。

Step 3:発芽・間引き

毎日水やりを行うと1週間ほどで順次発芽します。

インゲンの発芽

初期成長に必要な栄養を溜め込んだ双葉が開いたら、1株を間引いて、各点3株としましょう。

インゲンの双葉

通常、双葉の後には本葉が出ますが、インゲンや枝豆は、双葉の後に初生葉(しょせいよう)と呼ばれる左右対称の葉が出ます。初生葉が展開したらさらに間引いて各点2株としましょう(中央奥に見えるのがハサミでカットして間引いた跡)。

インゲンの初生葉、初回間引き

間引きの方法:株間が十分に広い場合は、苗を指でつまんでまっすぐ上に引き抜くのが最も手軽ですが、ピンセットを使うと、混み合っている箇所でも正確に間引くことが出来ます。また、密集して発芽してしまった箇所は(根が絡まり、残したい株まで一緒に抜けてしまう恐れがあるため)ハサミで根元から切り取ると安全・確実に間引くことが出来ます。

初生葉の間から3枚セットで出てくる葉が本葉です(3枚セットで第一本葉と呼びます)。

初生葉、双葉、第一本葉

本葉が出て、混み合ってきたら最終間引きを行い、各点1株としましょう(写真は間引き直前の様子)。

インゲンの本葉

定期的な追肥が必要

インゲンは栽培期間がやや長期となるため、定期的な追肥が必要です。緩効性肥料なら1か月おき、一般的な化成肥料なら2週間おきを目安として追肥しましょう。追肥の際は株元を避け、プランターのふちに沿って蒔くようにすると根が肥料焼けして痛んでしまう心配がありません。

Step 4:育成・収穫

最終間引きを終えたら、しばらくそのまま育成します。

最終間引き後のインゲン

インゲンはよく見ると葉の増え方がやや特殊で、第一本葉の付け根から第二本葉が出て、第二本葉の付け根から第三本葉が出て・・・と左右交互に成長します。

インゲン生育中

下の写真くらいの草丈になると徐々に花芽が付き始めます。

成長中のインゲン

これがインゲンのつぼみです。

インゲンのつぼみ

上の写真から数日すると、美しい花が咲きます(マメ科特有のこのような花の形を蝶形花と呼びます)。

インゲンの花

人工授粉は不要?

インゲンは花の構造上、花の中で雄しべと雌しべが接触し、開花時には自然受粉(自花受粉)が完了しているため、人工授粉を行う必要はありません。

花が落ちると、いよいよ食用部となる実が膨らみ始めます。

インゲン着果

インゲンは1か所から2つずつ対称に着果し、同時に肥大します。

インゲンの実

下の写真は収穫適期のインゲンです(開花から約2週間後)。12 ㎝ぐらいを目安とし、大きくなった実の付け根(果梗=かこう)を1つずつハサミでカットして収穫しましょう。

収穫適期のインゲン

つるなしインゲンの場合は短い期間に一斉に収穫期を迎えるため、一度にたくさん収穫することが出来ます(収穫期間は2週間程度)。採り遅れると硬くなり、株にも負担がかかるので出来るだけ早めに収穫するようにしましょう。

収穫したインゲン

栽培のポイント・注意点

人工授粉は不要

インゲンは人工授粉を行わなくても100%着果する性質があるため、特別な管理をしなくてもたくさん収穫することが出来ます。

鳥害に注意

豆は鳥の大好物なため、種をまいて浅く土をかけ放置すると、発芽前または発芽直後にスズメやムクドリなどに食べられてしまう場合があります。もし可能であれば本葉が数枚出るまで、防虫ネットや不織布などでプランター全体を覆っておくと安心です。

つるなし種がおすすめ

インゲンにはつるが伸びない「つる無し」と、つるが伸びる「つる有り」の品種があります。つる有りのほうが一般に収穫期間が長く多収ですが、つるが1.5メートル以上伸びるため管理が難しく、ネットや支柱も必要になります。一方、今回ご紹介した「さつきみどり2号」はつる無しで、草丈も45 ㎝程度とあまり大きくならず管理が容易なため、特に家庭菜園にお勧めです。

支柱で倒伏を防止

つる無しインゲンは支柱を立てなくても特に問題ありませんが、風雨や、実の重みで株全体が倒れてしまいそうな場合は、各株1本ずつ支柱を立て、数か所を軽く誘引しておくと安心です。

支柱で倒伏防止したインゲン

過湿による根腐れに注意

インゲンは根の抵抗力が非常に弱く根腐れによって枯れてしまうことがしばしばあります。根腐れの発生原因は、過剰な水分や肥料です。特に水分を与えすぎると根に酸素が回らず窒息し、根腐れを起こす原因となるため「土表面がしっかりと乾いてからたっぷり水を与える」ことを特に意識した水やりを行いましょう。

マメ科なのに根粒菌の働きは弱い

マメ科の野菜は一般的に、根に根粒菌という有用微生物が付着し、その根粒菌が窒素分を根に供給してくれるので、肥料として与える窒素分は一般的な野菜より少なくするのがセオリーなのですが、インゲンはマメ科であるにもかかわらず根粒菌の働きが弱いので、他の野菜と同様に肥料を与えたほうが、結果として多収になります。

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