ズッキーニはつる無しかぼちゃとも呼ばれ、外観はキュウリに似ていますが、分類上はかぼちゃの変種にあたります。栽培自体はそれほど難しくないものの、人工授粉の難易度が高く、家庭菜園初心者にはやや栽培のハードルが高い野菜の1つといえます。
このページでは黄色い外観が特徴のズッキーニ「オーラム」をプランターで種から栽培する方法をご紹介します。
基本データ | |
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栽培難易度 | |
名称・別名 | ズッキーニ、ペポカボチャ、スニッカーズ、ツルなしカボチャ |
科名 | ウリ科 |
英名 | Zucchini, Courgette |
原産地 | メキシコ |
播種適期 | 4月中旬~5月上旬 |
種のまき方 | 点まき |
発芽適温 | 25~30℃ |
生育適温 | 17~20℃ |
発芽日数 | 4~7日 |
最適プランター | レリーフプランター650 |
Step 1:必要資材の準備
ズッキーニをプランターで栽培するために、まずは必要となる資材や道具を揃えましょう。
はじめての家庭菜園でどれを買ったら良いか分からない場合は、この記事で使用している以下の資材一式を購入し、記載の手順通りに育てれば初心者でも失敗無く収穫することが出来ます。
タネ
草姿がコンパクトなので狭いスペースでも栽培出来、食味も良い家庭菜園の人気品種です。果皮は濃黄色で、果長は約20 cm、雌花率が高く、多収なのが特徴です。
プランター
プランターサイズが大きいほど旺盛に育ち、多収となりますが、レリーフプランターでも十分良く育ちます。この記事では以下のプランターを使用しています。
培養土
緩効性肥料入りの粒状培養土で、保水性、通気性、保肥性のバランスに優れています。
肥料
窒素、リン、カリがそれぞれ8%含まれる、最も一般的な化成肥料です。信頼できるメーカーのものを選ぶようにしましょう。
ジョーロ
毎日の水やりに使用します。プランターの数が多くなってきたら、ホースリールの導入も検討してみてください。
Step 2:種まき
良く洗ったプランターに鉢底石を底が見えなくなるくらいまで入れる。
*新品のゴールデン粒状培養土を使用する場合、この手順は不要です。
プランターに培養土を入れ、表面を平らにならす。
*プランターのふちギリギリまで入れずに、3 ㎝程度、余裕をもって入れましょう。
*タネをまくための「蒔き溝、蒔き穴」を作る必要はありません。
点まき。レリーフプランター650なら2点、各点4粒。
培養土をタネが完全に見えなくなるまで追加する(すでにプランターに入っている培養土を「寄せる」のではなく、新たにタネの上に培養土を追加)。
*このようにするとタネをまいた部分だけが少し高くなって株元の排水性が向上し、根腐れを予防することができます。
プランターの排水口から水が流れ出るまでたっぷりと水を与える。
*ホースリールを使用する場合は水勢を弱くし、土やタネが流れてしまわないよう注意。プランターは風通しの良い日なたに設置し、発芽するまでは毎朝1日1回の水やりを行いましょう。
Step 3:発芽・間引き
毎日水やりを行うと1週間ほどで順次発芽します(オーラムの発芽適温は、25~30 ℃です。寒さが残る時期では発芽しにくいため、ゴールデンウィーク頃の種まきがお勧めです)。
タネの覆土が浅いと、2枚の双葉の先端に種がついたまま発芽してしまうことがありますが、しばらく放置すれば自然に外れて双葉が展開します。
ズッキーニは双葉のサイズがかなり大きく、すぐに隣の株と重なり合ってしまうので、双葉が完全に展開したタイミングで初回の間引きを行い、各点2株とします(写真左下と右上がハサミでカットした跡)。
間引きの方法:株間が十分に広い場合は、苗を指でつまんでまっすぐ上に引き抜くのが最も手軽ですが、ピンセットを使うと、混み合っている箇所でも正確に間引くことが出来ます。また、密集して発芽してしまった箇所は(根が絡まり、残したい株まで一緒に抜けてしまう恐れがあるため)ハサミで根元から切り取ると安全・確実に間引くことが出来ます。
しばらくすると本葉が出てきます。
3枚目の本葉が出始めた頃に、最終間引きを行い、各点1株、プランター全体で計2株とします(間引き直前の様子)。
ズッキーニは葉が大きく株全体が風にあおられやすいため、下の写真のように最終間引き後にしっかりと土寄せ(または株元への培養土の追加=土増し)を行っておきましょう。上下の写真を見比べると土寄せの様子が良くわかると思います。
ズッキーニは栽培期間が長期となるため、定期的な追肥が必要です。緩効性肥料なら1か月おき、一般的な化成肥料なら2週間おきを目安として追肥しましょう。追肥の際は株元を避け、プランターのふちに沿って蒔くようにすると根が肥料焼けして痛んでしまう心配がありません。
Step 4:育成
最終間引きを終えたら、しばらくそのまま育成します。
この頃になると以下の写真のように葉に白い斑点が現れはじめます。病気ではないかと心配される方も多いと思いますが、葉の表面に白い斑点が現れるのはズッキーニの特性であるため心配無用です。
どんどん葉が増え、2株だけでもかなり窮屈になります。
この頃から株元周辺に、つぼみがたくさん付き始めます。尚、この写真にあるのはすべて雄花のつぼみです。
最初は雄花のつぼみばかりが出来ますが、徐々に、雌花のつぼみも増えてきます。雌花と雄花の見分け方は簡単で、黄色い膨らみの先につぼみがついているのが雌花です。黄色い部分が受粉後肥大し、最終的に食用となります。
本葉がこれくらい増えると、次々に雄花と雌花が咲き始めます。そのまま放置してもミツバチなどの媒介によって自然授粉し、結実することもありますが、より確実に着果させるため次に人工授粉(人工交配)を行いましょう。
Step 5:人工授粉・収穫
雌花と雄花が同時に開花したら、以下の手順どおりに人工授粉を行います。
人工授粉を成功させるためには、4つの条件をすべて同時に満たすことが必要です。
- 晴れていること
- 雄花が咲いていること
- 雌花が咲いていること
- 朝9時までに人工授粉を完了すること
何らかの要因で人工授粉に失敗すると、実が大きくならず、先端から腐り始めます。こうなってしまったら、実の付け根からハサミで切り取って廃棄しましょう。
受粉に成功すると、実がぐんぐん大きくなります。
人工授粉(=開花日)から4~5日して、実のサイズが20 ㎝ほどになったら実の付け根(=果梗、緑色の部分)からハサミでカットして収穫しましょう。
栽培のポイント・注意点
人工授粉のチャンスを逃さない
ズッキーニ栽培の難しさは、同じ日の朝に雌花と雄花が同時に咲かなければ人工授粉ができず着果しないところにあります。限られた人工授粉のチャンスを逃さないよう、毎朝必ずチェックを忘れないようにしましょう。
下葉刈りで成長促進
収穫期に入ったら下葉に栄養が取られないように、実から下3枚の葉を残し、それより下の葉はすべてハサミで刈り取っておきましょう。こうすることで風通しも良くなります。
早取りで多収に
ズッキーニはサイズが20 ㎝を超えると食味が悪くなります。また、株にも大きな負担がかかり、後続の実の付きが悪くなってしまうため、採り遅れず収穫するようにしましょう。
葉の白い斑点が病気ではなくズッキーニの特性とわかり驚きました。
人工受精が朝9時までに、など色々全ての記事がためになりました。
ちよみさんへ
こんにちは。励みになるコメントを頂きありがとうございます!
参考になったようで嬉しいです。
Yu-Rin