ニラの育て方

ニラの栽培方法

ニラは生命力が特に強く、一度植え付ければ病虫害を受けることもなく、5年以上収穫し続けることが出来ます。長期の管理や追肥、株分けなどの作業が必要となりますが、このページに記載の手順を守れば、家庭菜園初心者でも失敗無く育てることが出来ます。

このページでは生育旺盛で収穫後の再生力が極めて強い肉厚広巾品種「広巾にら」をプランターで種から栽培する方法をご紹介します。

基本データ
栽培難易度  
名称・別名 韮(ニラ、韭)、韮白(キュウハク)、彌良(ミラ)
科名 ヒガンバナ科(旧分類:ユリ科)
英名 Chinese chives, Green chives
原産地 中国
播種適期 3月中旬~下旬
種のまき方 点まき
発芽適温 15~25℃
生育適温 15~20℃
発芽日数 6~8日
最適プランター レリーフプランター650

Step 1:必要資材の準備

ニラをプランターで栽培するために、まずは必要となる資材や道具を揃えましょう。

はじめての家庭菜園でどれを買ったら良いか分からない場合は、この記事で使用している以下の資材一式を購入し、記載の手順通りに育てれば初心者でも失敗無く収穫することが出来ます。

タネ

収穫後の再生力が非常に高く、耐暑性、耐寒性にも優れ、プランターでも育てやすい、家庭菜園の人気品種です。肉厚、広巾種なので、やわらかく、食味が良いことでも知られています。

プランター

ニラは生命力が非常に強く、少ない土量でも良く育つので、レリーフプランター(点まき、5点)がおススメです。

培養土

緩効性肥料入りの粒状培養土で、保水性、通気性、保肥性のバランスに優れています。

肥料

窒素、リン、カリがそれぞれ8%含まれる、最も一般的な化成肥料です。信頼できるメーカーのものを選ぶようにしましょう。

ジョーロ

毎日の水やりに使用します。プランターの数が多くなってきたら、ホースリールの導入も検討してみてください。

Step 2:種まき(1年目のみ)

手順1
鉢底石を入れる

良く洗ったプランターに鉢底石を底が見えなくなるくらいまで入れる。
*新品のゴールデン粒状培養土を使用する場合、この手順は不要です。

手順2
培養土を入れる

プランターに培養土を入れ、表面を平らにならす。
*プランターのふちギリギリまで入れずに、3 ㎝程度、余裕をもって入れましょう。
*タネをまくための「蒔き溝、蒔き穴」を作る必要はありません。

手順3
タネをまく

点まき。レリーフプランター650なら5点、各点10粒。

ニラの種のまき方

手順4
タネに土をかぶせる

培養土をタネが完全に見えなくなるまで追加する(すでにプランターに入っている培養土を「寄せる」のではなく、新たにタネの上に培養土を追加)。
*このようにするとタネをまいた部分だけが少し高くなって株元の排水性が向上し、根腐れを予防することができます。

手順5
水やりをする

プランターの排水口から水が流れ出るまでたっぷりと水を与える。
*ホースリールを使用する場合は水勢を弱くし、土やタネが流れてしまわないよう注意。プランターは風通しの良い日なたに設置し、発芽するまでは毎朝1日1回の水やりを行いましょう。

注意

ニラは種に光があたると発芽しない性質があります(嫌光性種子)。そのため、タネに光が届かないよう厚めに覆土して、しっかりと鎮圧するようにしましょう。

Step 3:発芽・間引き(1年目のみ)

無事に発芽したら、間引きを行います。

下の写真はまだ発芽直後のニラ。ニラは発芽がかなりばらつくため、すぐに間引かずしばらく様子をみましょう。

ニラの発芽

以下の写真くらいのサイズになったら、各点6~7株残して間引きます(大きくなると引き抜きづらくなるため、1回目の間引きで最終株数にします)。

間引き適期のニラ

ニラの間引きは、根ごと除去する必要があるのでハサミを使わずに、手で慎重に引き抜いて行います。途中で葉がちぎれてしまわないよう注意して行いましょう。

定期的な追肥が必要

ニラは栽培期間が長期となるため、定期的な追肥が必要です。緩効性肥料なら1か月おき、一般的な化成肥料なら2週間おきを目安として追肥しましょう。追肥の際は株元を避け、プランターのふちに沿って蒔くようにすると根が肥料焼けして痛んでしまう心配がありません。

Step 4:育成(1年目のみ)

間引きを終えてしばらくすると、徐々に葉が伸びてきます。

ニラの幼苗

最初は上の写真のように葉が細いですが、成長に伴って自然に徐々に葉の幅が広くなってきます。下の写真くらいのサイズになれば、地際からハサミで刈り取って収穫することが出来ます(詳しい収穫方法は「Step6:収穫」を参照)。

1年目のニラ収穫適期

収穫しすぎに注意

1年目は強い根を養成するため、初夏に1度収穫するのみとし、以降は収穫を控えましょう。

1年目の11月頃になると、下の写真のように葉が茂ってきます。このまま冬を迎え、自然に葉が枯れてから枯れた葉を刈り取って越冬に備えても良いのですが、一旦このタイミングで地際からハサミですべて刈り取っておくと良いでしょう。

ニラ1年目

12月にはまた葉が再生して伸びてきます。

収穫後に再生中のニラ

1月中旬頃になれば葉が自然に枯れるので、きれいに地際からハサミで刈り取っておきましょう。

ニラの冬枯れ

刈り取った後の様子。春まではこの状態のまま休眠状態となるので、特に水やりも追肥もせず、そのまま放置します。

ニラの越冬に備えた刈り取り後

Step 5:株分け(毎年)

翌年3月になると、ニラが休眠から目覚め、再び葉が伸びてきます。下の写真のタイミングで、プランターからニラを掘り起こしましょう。

春になり再び芽吹くニラ

プランター自体を横に倒して土を崩し、根を出来るだけ傷つけないように慎重に掘り起こすと、1つの株が「分けつ(分球)」して増え、束になっています。

分けつしたニラの根

鱗茎(りんけい)」と呼ばれる茎の末端の少し膨らんだ部分を一つ一つポキポキと手ではがして分割し、ばらばらにします。さらに、新しい根の発生を促すため、長い根は数センチ残してハサミでカットします。

ニラの株分け

きれいに洗ったプランターに、新しい培養土を入れ、株分けしたニラを1箇所あたり5~7本束ねて、3点に植えつけます。

2年目のニラの植え付け

植え付けから数日して根付くと、また葉が伸び始めます。

ニラ株分け後の植え付け

2年目以降も毎年春になったら同じように株分けを行いましょう。そうすると株全体がリフレッシュし、食味の良い新鮮なニラを5年以上収穫することが出来ます。

培養土もリフレッシュ

1年経つと培養土も排水性が悪くなり、プランターも汚れが目立つ状態になります。毎年の株分けの際にプランターを良く洗い、新しい培養土に入れ替えるようにしましょう

Step 6:収穫(2年目以降)

株分け後、完全に根付いて成長した二年目のニラ。1年目と比べ葉の巾もかなり広くなっています。

2年目のニラ

収穫は草丈が20 ㎝くらいになったら、地際からハサミでばっさりと刈り取るのがポイント。下の写真は収穫後の様子。

ニラ刈り取り後

地面ギリギリのところからハサミで刈り取りますが、2~3週間もするとまた元通りに再生し、再び収穫することが出来ます。

ニラ収穫方法

ニラの成長速度に負けないように、ニラ餃子、炒め物、ニラチヂミ、ニラの卵焼きなど・・・工夫してどんどん消費しましょう!

ニラの卵焼き

注意

プランター1つでも大量のニラが収穫出来てしまうため、一般の家庭では食べ切れなくなってしまうことが多々あります。その場合でも株を若く保って食味を維持するために、収穫可能なサイズになったら必ず地際から刈り取っておくようにしましょう(「刈り捨て」または「捨て刈り」といいます)

毎年、夏になると花芽が伸びてきますが、これが高級中華食材として知られる「花ニラ」です。株の疲労させないために、花芽が出てきたら開花させず、つぼみの状態ですべて収穫するようにしましょう(収穫適期の花ニラ)。

花ニラ

栽培のポイント・注意点

花ニラは早めに収穫

花ニラは知る人ぞ知る高級食材です。非常に香り高く、食味にも優れているため、早めに収穫し、その旬の味を堪能しましょう。

開花させると株が疲弊し、葉の食味まで落ちてしまうため花芽が伸びてきたら早めの収穫を心掛けましょう。

捨て刈り(刈り捨て)を忘れずに行う

ニラのプランター1つだけでも大量に収穫が可能なため、一般の家庭では供給が需要を上回り、食べきれなくなりがちです。その場合でも株を老化させないように、収穫適期のサイズ(20 ㎝くらいの草丈)になったら地際から葉を刈り取り、新しい葉の成長を促すようにしましょう。

最初の株分けで3点植えとし、多すぎるようであれば翌年は2点植えにして植え付ける株数も少なくするなど、適宜栽培量を調整すると無駄無く消費することが出来ます。

また逆に、ニラが不足するようであれば4点植えにして栽培量を増やし、2か所ずつ互い違いに収穫するとほぼ毎週収穫を楽しむことが出来ます。

ニラの豆知識

ニラ特有の匂いの正体は?

硫化アリルの一種であるアリシンです

ニラには独特の風味があり、餃子や卵焼きに入れると非常に風味が良くなり食が進みますが、この匂いの正体は硫化アリルの一種であるアリシンという物質です。硫化アリルはユリ科の植物に含まれ、玉ねぎを包丁で切る際に目にしみるのもこの硫化アリルが原因です。

硫化アリルには疲労回復効果や、血液をサラサラにする効果があるとされ、漢方薬としても韮白(キュウハク)という名称で古くから利用されています。

8 COMMENTS

tatu

はじめまして
ニラを秋植えで初挑戦中です。
まだ先のことですが、間引きや冬越しの刈り取りタイミングなど、春植えと同じタイミングで大丈夫ですか?
また、秋植えの場合、翌年の8月頃に初収穫ぐらいにで、後は春植え2年目以降と同じでよろしいでしょうか?

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Yu-Rin

tatuさんへ

こんにちは。ご質問ありがとうございます。

この記事では春まきを前提としていますが、秋まきの場合も、同様です。

株の状態次第ですが、秋まきであれば、基本的には、翌年春の「Step 5:株分け(毎年)」の作業は省略して構いません。

秋まきであっても、春一番に出た葉が、食べられる程度の太さになっていれば「Step 6:収穫(2年目以降)」に準じて順次収穫することが出来ます(*「広巾にら」の前提で記載しています)。

春に出てくる葉が細く、株の充実が不十分な場合は「Step 4:育成(1年目のみ)」に準じ、葉が太くなるまで、収穫を控えめにして育成してみてください。

順調にいけばプランター1つでも、家庭では食べきれなくなるくらいどんどん育つので、「栽培のポイント・注意点」に記載したように、草丈20 cm程度になったら、食べきれなくても、とにかく収穫するようにして、健康で、元気なニラを育ててください!

Yu-Rin

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tatu

ご返答ありがとうございます。
頑張って育てて、たくさん収穫したいと思います。

ちなみにですが、たくさん種まきして、他の野菜プランターのコンパニオンプランツとしても少し使おうと思っています。
時期に併せ、また、このページを参考にさせていただきます。
今から成長が、楽しみです。

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Yu-Rin

tatuさんへ

ご丁寧にありがとうございます。
栽培を進める中で、また何かご不明な点が出てきましたら、いつでもご相談ください!

Yu-Rin

まー子

こんにちは。まー子です。
私は今年父と、プランターで初めてニラを育てています。
ニラは、病気や害虫があると載っていたので、農薬などで対策しようと思いましたが、農薬だとあまり体に良くないと母が言っていました。
逆に無農薬だと、体に良くて、おいしいと言っていました。
農薬以外の対策があれば教えてください。

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Yu-Rin

まー子さんへ

こんばんは。ご質問ありがとうございます。

環境次第ではあるのですが、一般的に、無農薬、無被覆であっても、ニラが虫害を受けることは、かなり少ないと思います。

実際、私も、ニラの病虫害で困った経験はこれまで一度もありません(無農薬+無被覆)。

ニラは雑草と同じくらい強い生命力を持っているので、肥料を控えめにして、無農薬、無被覆で育てれば、まったく問題なく元気に育ってくれると思います。

ニラの初栽培、是非楽しんでください!

Yu-Rin

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ゆーさ

はじめまして。
今年、初めてニラを育て始めました。
まだ先のことですが、1年目の11月に刈り取った葉も食べれるのでしょうか?

返信する
Yu-Rin

ゆーささんへ

おはようございます。ご質問ありがとうございます。
11月に刈り取った葉も、食べられるのですが、本来の収穫タイミングから、かなり遅れて収穫することにはなるので、葉が老化し、若干食味も悪くなります。

ニラは先端が上に向かって生長中の若葉のほうが風味・食味が良く、成長しきって、葉の先端が下を向くようになると食味が落ちてきます。

冬が近づくと、徐々に葉の色は黄色くなり始め、さらに、枯れて茶色くなる葉も出てきますが、そうなると、食用にするのは難しいと思います。

この記事では、1年目は、初夏に1度収穫し、11月にもう一度、刈り取ることをお勧めしていますが、2回目の刈り取りも食用にする場合は、タイミングを少し早め、色が鮮やかなうちに収穫していただくと、より美味しくいただけると思います。

それでも食味が悪く感じる場合は、レバニラ炒めなどではなく、細かく刻んで餃子のタネにするなどすれば、あまり気にならないかと思います。

Yu-Rin

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